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放射線照射後発生した骨軟部肉腫10症例の臨床病理学的検討
著者: 和田成仁13 川口智義1 網野勝久1 磯辺靖1 松本誠一1 真鍋淳1 北川知行2 古屋光太郎3
所属機関: 1癌研究会付属病院整形外科 2癌研究会付属病院病理部 3東京医科歯科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.1205 - P.1217
文献購入ページに移動放射線照射後に悪性腫瘍の発生をみることは,放射線が発見され医療をはじめ広く応用されてより比較的早い時期に気付かれていた.すなわち,放射線の発見後12年目の1907年には,Porterら11)が放射線操作に4年間従事した男性の手に扁平上皮癌の発生した例を報告している.また,骨軟部の肉腫の発生についてみると,1922年Beckら2)の報告が最初のものとされている.
放射線が近代医療の診断治療において果たした恩恵には測り知れないものがある.しかし,その一方で放射線は様々の副作用をももたらし,ことに放射線照射後の悪性腫瘍は頻度こそ少ないが後遺障害としてはきわめて重篤であり見過すことのできないものである.
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