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手術手技シリーズ 脊椎の手術・24
胸椎および胸腰椎移行部 胸椎部椎間板ヘルニアおよび脊椎症に対する手術手技
著者: 藤村祥一1 土方貞久2
所属機関: 1川崎市立川崎病院整形外科 2東京電力病院整形外科
ページ範囲:P.1247 - P.1258
文献購入ページに移動胸椎部椎間板ヘルニアおよび脊椎症は頸椎部,腰椎部のそれに比較して稀であり,臨床上扱う機会は少ない.しかし本症は脊髄症を招来し,重度の脊髄麻痺へと進行し得るので早期診断と早期治療が要請される.しかるに本症の確定診断は必ずしも容易ではなく,神経学的所見と検査所見の詳細な検討が必要であり,また治療にあたっても保存治療がほとんど無効のため,手術治療以外にはなく,しかも当該部に脊髄があるために手術法の選択に苦慮することも少なくない.
本症は1911年にMiddletonらの報告にはじまり,手術治療は1922年にAdsonが椎弓切除術を行って以来,専ら椎弓切除術のみが行われたが,手術成績は不良で改悪するものも多かった.1958年にCrafoordらが,本邦でも池田ら,大谷が前方侵襲法を報告して以来,手術成績は飛躍的に向上した.本症の手術治療は前方除圧・椎体固定術が原則であり,椎弓切除術は避けるべきである.我々の17例の手術例も全症例に前方侵襲法を採用したが,その手術成績は良好で,悪化例がなく,かつ持続的な手術効果が得られている.
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