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論述
慈大式人工膝関節の耐久性について
著者: 富田泰次1 室田景久1 神前智一1 穂苅行貴1 金尾豊1 杉山肇1 大谷卓也1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.1314 - P.1321
文献購入ページに移動慈大式蝶番型人工膝関節は,昭和37年大腿骨の巨細胞腫例に,アクリル樹脂製のものを用いたのが初めであるが,以後素材や構造に改良を加え,数回のモデルチェンジを経て,昭和47年にはユニバーサル型人工膝関節が完成され,今日に至っている3,7).ユニバーサル型人工膝関節は,図1の如く,ステンレス鋼製の長軸,蝶番関節で,軸受け部分にはHDP製のスリーブがはめ込まれており,摩擦を最小限にした,low-friction typeのものである.現在,著者らはこのtypeのものを単に慈大式人工膝関節と称している.
昭和37年以降,使用した人工膝関節のtype別症例数は,表1の如くであるが,アクリル樹脂製のものは,17例中2例に折損を生じたため,ユニバーサル型で再置換しており,耐摩耗性に劣ることから現在では全く使用していない.今回は,ユニバーサル型のものについてのみ,その合併症,とくに折損について述べる.
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