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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科19巻3号

1984年03月発行

雑誌目次

視座

同種骨移植の立法運動

著者: 山本真

ページ範囲:P.215 - P.215

 同種骨移植は臨床上すでによく用いられているが合法ではない.どこが法律に違反するかといえば返還できないからだそうである.よく外科医が早期癌の切除胃の標本を棚に並べているのをみるが,あれはもし本人や家族の要求があれば返さなければならない.移植されたものは返せない.そこが現在の法律に違反することになる.だから角膜,腎の同種移植はそれぞれの法律を制定することに成功した.当然同種骨移植の法律もつくって晴れて合法化してもらいたいものである.
 もちろん現在同種骨移植を行っても有罪になることはない.一般社会の常識がすでにこの違法を越えてしまっているからである.しかし法律は社会に追いついて制定されていかねばならない.そしてそれは黙っていても立法化されるわけではなく,やはりそれなりの運動が必要なのである.

論述

脂肪肉腫68例の治療成績

著者: 石井清一 ,   松野誠夫 ,   山脇慎也

ページ範囲:P.216 - P.222

緒言
 脂肪肉腫は最も発現頻度の高い軟部悪性腫瘍の一つである.一般の医療機関で行われている治療の多くは安易な部分切除術や摘出術である.そのために局所再発をくり返し,やがては遠隔転移をきたして死亡する例も多いものと思われる.したがって,術前に臨床的情報を最大限に集め,広範切除術に加えて計画的な化学療法や放射線治療を行えば,治療成績を更に上げられる可能性を残している.このような集学的治療の確立を目ざして,厚生省がん研究助成金による軟部悪性腫瘍の治療研究班が作られてから2年を経過した.本報告の目的は,この研究班で扱った68例の脂肪肉腫の治療成績を分析して,本腫瘍に対する治療体系の改善点を見出そうとしたものである.

着陸時の航空機墜落事故における脊椎損傷例の検討

著者: 野崎博之 ,   岡島行一 ,   藤田隆一 ,   古府照男 ,   若江幸三良 ,   鈴木清之 ,   富田泰次

ページ範囲:P.223 - P.229

はじめに
 航空機墜落事故では生存者が少ないこともあって,外傷の分類や受傷機転などに関する詳細な報告は少なく,外国にわずかに数件の報告がみられるに過ぎない.
 今回われわれは,1982年2月9日の羽田沖墜落事故における負傷者の治療に当る機会を得たので,特に脊椎損傷患者の受傷機転その他について若干の考察を加えて報告する.

分裂膝蓋骨の臨床症状,臨床所見および成因について

著者: 大橋義一 ,   腰野富久

ページ範囲:P.231 - P.240

はじめに
 1883年,Wenzel Gruber5)がはじめて分裂膝蓋骨を報告して以来,幾多の報告がなされてきている.分裂膝蓋骨は偶然に膝のX線検査で発見されるものが多く,膝痛の原因となることは少ないとされてきた.しかし膝痛で病院を訪れるものの中には有痛性分裂膝蓋骨もかなりみられ,その臨床像は明らかでない点が多い.我々は分裂膝蓋骨に対し種々検討を行ってきているが14,18),今回は当科で診断された分裂膝蓋骨の臨床症状や臨床所見につき検討を行い,いくつかの知見を得たので報告する.またその成因に関して考察を加えた.

症例検討会 骨・軟部腫瘍13例

〔症例1〕左季肋部腫瘍

著者: 藤内守 ,   井形高明 ,   西川洋三 ,   長田大助 ,   森田哲生 ,   青山茂樹 ,   広瀬隆則 ,   檜沢一夫

ページ範囲:P.241 - P.243

 現病歴:61歳,女性.昭和56年10月31日,左季肋部腫瘤に気づき,当科を受診,入院した.腫瘍は10×10cm,非常に硬く,左第8,9肋骨と強く癒着していた.初診時のX-Pでは肋骨の破壊はみられなかったが,CTでは肋骨の表層には破壊がみられた.昭和57年1月22日,周囲肋骨を含めて腫瘍の全摘出術を行ったが,その後急速に,胸骨,肋骨,両肺,皮下に多数の転移巣が出現,増大した.昭和57年11月29日,胸壁,肺転移巣の摘出を行なったが,病巣はすでに広く昭和58年5月23日死亡した.
 肉眼所見:原発腫瘍は7×7×4.5cm,黄白色,充実性,弾性硬,境界明瞭で,左第8,9肋骨をとりこんで,外側は大胸筋,内側は内肋間筋を圧迫し,砂時計腫様を呈していた.

〔症例2〕右大腿遠位後面軟部腫瘍(Synovial Sarcoma)

著者: 磯辺靖 ,   川口智義 ,   網野勝久 ,   松本誠一 ,   真鍋淳 ,   北川知行 ,   町並陸生 ,   古屋光太郎 ,   荒井孝和 ,   和田成仁

ページ範囲:P.243 - P.246

 患者:37歳,男性
 昭和56年8月,右大腿遠位後面の径2cmの腫瘤に気付くも放置していた.自発痛,圧痛はなかった.さらに同年10月,近医を受診し,腫瘍と診断されたが放置していたところ,腫瘤は次第に増大し,疼痛が出現するにいたり,昭和57年5月8日,当科を受診した.当科初診時,右大腿遠位後面に8×9cmの境界明瞭,弾性硬の腫瘤をふれた.局所熱感はあるが,圧痛,拍動は認めなかった.骨,皮膚との可動性が認められた.Xerographyでは腫瘍境界が描出されず,偏位した筋膜像のみが認められることから,筋肉内腫瘍であることが診断された.腫瘍内には網状の石灰化,あるいは骨形成がみられた(図2-1).超音波検査では,大腿後面に6.9cmの長軸径を有するhypoechoicな腫瘍像が認められた.穿刺細胞診はclass Vであった.血管造影では著明に濃染するが,膝窩動脈の偏位や壁の不整はみとめられない.CT検査では,二頭筋内に,石灰化を伴う腫瘤像が認められた(CT値40〜48H.U.).同年5月19日,広範切除術を施行した.切除材料でみると,腫瘍は二頭筋内に限局しており,近位は腫瘍から6cmの距離で,遠位は同筋の骨停止部で切除され,横方向にはいずれも筋膜あるいは腱組織で被包されていた.切除材料の割面の観察では,腫瘍は帯白黄土色充実性で割面膨隆を示し,弾性硬で,ほぼ全周にわたって偽被膜を有していた.

〔症例3〕右殿部軟部腫瘍

著者: 姥山勇二 ,   後藤守 ,   山脇慎也 ,   井須和男 ,   宮川明 ,   山城勝重

ページ範囲:P.247 - P.249

 患者:76歳,男,右殿部腫瘍
 経過:昭和57年7月右下肢痛並びに右殿部腫瘤に気付く.同年10月当科入院,悪性軟部腫瘍の診断で手術を行った.術後照射を行ったが昭和58年2月局所再発を生じ肺転移も出現した.また左下腹部にも腫瘍が出現,昭和58年4月肺転移のため死亡した.全経過は9か月であり化学療法は行っていない.剖検は許されなかった.

〔症例4〕右大腿骨腫瘍

著者: 坂江清弘 ,   後藤正道 ,   佐藤栄一 ,   森本典夫 ,   押領司光雄 ,   酒匂崇

ページ範囲:P.249 - P.251

 患者:14歳男子.昭和56年8月末,自転車で転倒し,右臀部を打撲.右股関節部痛が持続したため,9月25日当科を受診.初診時X-Pにて,右大腿骨小転子から骨頭にかけて骨萎縮像がみられた.その後発熱や局所熱感があり,骨髄炎として,某医で抗生剤の投与を受けたが,疼痛は消失しなかった,その後2か月間で,大腿骨小転子から頸部にかけて,偏在した地図状の骨破壊像が増大してきたため,翌57年2月9日当科へ転科した.入院時X-Pにて,小転子に淡明な腫瘍陰影がみられ,骨皮質は皮殻様に菲薄化し,腫瘍内にポップコーン様の石灰化巣がみられた(図4-1).血管造影では,大腿動脈の軽い偏位が認められただけで,悪性所見はなかった.99mTcMDPおよびGa66citrateの骨シンチグラフィーにて異常集積像を呈したため,悪性が疑われた.2月23日と3月4日の2回の生検にて,異型骨芽細胞様細胞がみられ悪性が疑われたが,結果的には悪性の確診がえられないまま,3月25日腫瘍摘出術が施行された.腫瘍はen-blocに摘出され,掻爬骨移植が行われた.術後1年4か月現在,局所再発,転移はなく,骨癒合も良好である.

〔症例5〕神経原性肉腫の1例

著者: 折戸隆 ,   前山巌 ,   古瀬清夫 ,   稲田治 ,   森本兼人 ,   湯本東吉

ページ範囲:P.251 - P.253

 患者:45歳,女性.昭和56年2月右踵骨部に釘が刺さり,その後同部に腫瘤が出現した.同年6月にはクルミ大となり某医にて腫瘤摘出術を受けた.同時期に右膝窩部の腫瘤に気づき,しだいに増大した,10月19日に当科を受診した.右踵骨部には潰瘍形成を認めるが,腫瘍形成はなかった.右膝窩部には7×6cm,ゴム様硬にて境界明瞭な腫瘍が存在した.10月29日に右大腿中央より切断し,その後ADRを中心に化学療法を施行した.昭和57年3月両肺へ転移,4月右鼠径リンパ節へ転移し,5月右鼠径リンパ節摘出術を施行した.7月19日全身転移にて死亡した.
 I)踵骨部の腫瘍:病理組織学的所見;HE染色では腫瘍細胞は中等度類円形の核をもち,敷石状に増殖していた.一部では腫瘍糸即i包が横に並ぶ様な部位も散見された(図5-1).強拡大では胞体境界は不明瞭で,核分裂像が多数認められた.鍍銀像では好銀線維はほとんど認められず,血管周囲から仲びる程度だった.好銀線維の比較的豊富なところでも管腔形成は認められなかった(図5-2).PAS染色ではごく一部の腫瘍細胞がPAS頼粒をもつだけであった.マッソン三重染色では膠原線維は認められなかった.アルシャンブルー染色では腫瘍細胞問には酸性粘液多糖は認められなかった.

〔症例6〕左大腿骨骨腫瘍

著者: 桑原竹一郎 ,   丸山孝士 ,   梅田透 ,   保高英二 ,   高田典彦

ページ範囲:P.254 - P.256

 症列:16歳,男
 主訴:左大腿部疼痛

〔症例7〕尿崩症を呈した多発性骨ならびに肺病変

著者: 自見厚郎 ,   堀江昭夫 ,   肱岡昭彦 ,   中島清隆 ,   小林靖幸 ,   鈴木勝己 ,   朝倉昭雄

ページ範囲:P.256 - P.259

 症例は14歳の女性.主訴は両肩痛,腰痛と多飲多尿.家族歴,既往歴に特記すべきことはない.昭和56年(12歳)頃より,運動時の疲労が増強し,体育ができなくなった.昭和57年4月頃より右肩に疼痛が出現し,次第に右腕の挙上が困難となった.同様の症状が左肩にも出現し,同年12月に腰痛も生じたため近医を受診した.X線写真で右肩関節に異常所見を指摘され産業医大整形外科に紹介された.また同年9月頃より多飲多尿(4-5l/日)傾向も出現してきた.臨床所見として,尿崩症,僧帽弁狭窄閉鎖不全症,両肩の運動制限および腰痛が認められた.低比重尿(1.005),プロラクチン値の著明な上昇,その他の下垂体ホルモン値の低下がみられた.水制限試験陽性であったが,トルコ鞍のballooningはみられなかった.右上腕骨近位の骨幹端に骨融解性変化がみられ骨端にも拡がり,病巣の境界は不鮮明で骨膜反応も著明でなかった(図7-1).同様の骨融解巣が両側対称性に,橈骨,大腿骨,脛骨に,また腸骨,椎骨にも認められ,Gaシンチでも異常集積像として描出された.胸写で両肺野にた結節散布性陰影がみられた.以上の所見から,histiocytosis Xが疑われ,右上腕骨と右腸骨の生検が行われた.組織学的に好酸性肉芽腫の像はなく,比較的多い核分裂像を示す線維芽細胞の増殖と膠原線維の増加があり,間質の硝子化が目立った(図7-2).明るい胞体をもつ組織球は確認されなかった.

〔症例8〕右橈骨腫瘍

著者: 下田忠和 ,   藤井克之 ,   近藤秀丸 ,   本間玄規

ページ範囲:P.259 - P.261

 症例:28歳,女性
 主訴:右前腕部腫瘤

〔症例9〕右第4中足骨腫瘍

著者: 大野藤吾 ,   朴杓允 ,   高山宏 ,   阿部光俊

ページ範囲:P.261 - P.263

 38歳女性
 主訴:右足の痛みと右足背の腫脹
 家族歴,既往歴:特記すべきことなし.

〔症例10〕左大腿骨腫瘍

著者: 中田和義 ,   野村隆洋 ,   和田光司 ,   大森尚人 ,   古川光一 ,   中土幸男 ,   松井猛 ,   寺山和雄 ,   丸山雄造 ,   上野芳郎 ,   山田英世 ,   湯本東吉 ,   前山巌

ページ範囲:P.263 - P.266

 患者:27歳,男性.主訴:左膝痛
 現病歴:昭和56年5月頃より誘因なく左膝痛が出現し,同年7月運動後に左大腿下部の疼痛と腫脹が増強したため,近医を受診.X線所見で左大腿骨下端に骨破壊像が見られ,悪性骨腫瘍を疑い,生検を受けたが,組織学的診断が確立しなかったため,8月31日当科へ紹介され入院した.

〔症例11〕右膝窩部軟部腫瘍

著者: 板橋正幸 ,   中島孝 ,   広田映五 ,   福間久俊 ,   別府保男 ,   西川耕平

ページ範囲:P.266 - P.269

 症例は31歳女性.主訴:右膝窩部の疼痛と腫瘤形成
 現病歴:昭和56年11月,正坐時に右膝窩部の疼痛に気付いた.57年4月疼痛は増強し,右下腿後面のシビレ感が出現し,膝窩部に腫瘤を触知した.同年6月某病院で穿刺を受けたが排液はなかったとの事である.8月14日当センター外来受診.10月14日入院.

〔症例12〕30年間の経過を示した左大腿軟部巨大腫瘍

著者: 中村道利 ,   真角昭吾 ,   横山繁生 ,   中山厳

ページ範囲:P.269 - P.271

 症例:76歳.男子
 主訴:左大腿内側の巨大腫瘤形成

〔症例13〕下腿軟部悪性腫瘍

著者: 武田善樹 ,   浦野順文 ,   前田昌穂 ,   山崎京子 ,   松原司 ,   水野耕作 ,   広畑和志 ,   岡田聡

ページ範囲:P.271 - P.273

 症例は40歳男子.体育教師で,右膝靱帯損傷の既往あり.祖父は白血病,祖母は子宮癌で亡くなっている.昭和55年10月,疾走中に右下腿後面に激痛を感じ,その後痛みは続いた.56年4月,右膝窩部遠位に拇指頭大の硬い腫瘤ができ徐々に増大した,56年9月,神戸大整形外科を受診,入院した.
 受診時,下腿の腫大があり,膝窩すぐ遠位に皮膚と癒着なく基底で可動性のない腫瘤があり,一般検査では,白血球増多(12000/mm3),ツ反強陽性の他著変なく,CEA 41.8ng/mlと高値を呈し,VMAは正常範囲内であった.X線像では軟部陰影の増大,腓骨中枢部の彎曲popliteal Aの圧排,静脈の狭窄がみられた.CT像では筋肉と同レベルのdensityを示す.境界鮮明な腫瘤を認めた.

整形外科を育てた人達 第14回

Adolf Lorenz(1854-1946)

著者: 天児民和

ページ範囲:P.274 - P.277

 先天性股関節脱臼の非観血的療法を開発し,整形外科が医学の一分科となる確実な進歩・発展の基礎を造ったのはWienのAdolf Lorenzであったことは整形外科で知らぬ人はないと思う.彼の伝記はIch durfte helfenと言う題で自身で書いている.本書は元来その前年に米国で英語で出版したが,友人や出版業者がドイツ語版も是非出版したいと言うので,翌1936年にLeipzigのL. Staakmann Verlagから出版したのである.これは348頁の詳しい伝記である.この伝記を中心として,他に彼の業績やエピソードを加えて書ことにした.

手術手技シリーズ 脊椎の手術・20

頸胸移行部に対する前方椎体の進入法

著者: 大谷清

ページ範囲:P.279 - P.289

 頸胸移行部でも,とりわけ上位胸椎に対しては,前方椎体進入の機会は少ない.しかしながら,少ない機会のうちでも,同部の疾患は保存的治療に全く抵抗するものや,脊髄麻痺を合併し,しかも重度麻痺にまで発展するものがある.これらに対しては前方椎体進入による手術的治療に治癒の期待を託すのみである.
 下位頸椎から上位胸椎にかけての前方進入法にも,いくつかの進入法があるが,その病態に応じて手術法を選択する必要がある.

境界領域

ステロイド投与家兎にみられた大腿骨頭骨細胞の脂肪壊死

著者: 川井和夫 ,   玉木昭彦 ,   広畑和志

ページ範囲:P.292 - P.300

はじめに
 副腎皮質ステロイド剤はそのすぐれた抗炎症作用のため広く臨床的に用いられている.一方,本剤の副作用として生体に種々の病的変化が生じることが報告されている.その代表的なものとして血液凝固能の亢進6,23),高脂血症37,41),脂肪肝37),潰瘍形成などがある.骨における変化としては,骨芽細胞の増殖が抑制され10,26),骨細胞の代謝も低下する8,34,42)ことから全身性のosteoporosisが生じる25,46)
 また大量のステロイド剤の投与は特発性大腿骨頭壊死(以下,INFH)発症と密接な関係があり19,47),木剤はINFHの重要な外的因子の一つに挙げられている7,18).しかしその成因に関してはステロイドのもつ副作用と関連して多くの説があり,いまだ定説はない.これらのなかでは大腿骨頭小血管での脂肪栓塞7,8,15,16,25)や骨髄内圧上昇1,11,12,49)に伴う大腿骨頭の虚血が最も重要視されている.これまでの研究ではいずれも「虚血」が前提となって,虚血をきたす原因だけが追求されてきたと言える.一般的にINFHの大腿骨頭には,骨髄内静脈造影所見や内圧の検索1,11,12,22,44)から虚血性変化が生じていることは事実である.しかしこれが一次的変化なのか二次的変化なのかは明確にされていない.実際大腿骨頭の脂肪栓塞像や骨髄内圧の上昇所見はOA患者にも同様の頻度でみられることが報告されている17,31,43).そのため最近では原囚は不明ながら,骨ならびに骨髄細胞へのtoxic factorを重要視する報告もみられるようになった17,20,21,29,30,31,48)

臨床経験

側彎症におけるコトレル牽引療法の検討

著者: 鈴木愉 ,   大木勲 ,   増渕正昭 ,   大井淑雄 ,   御巫清允

ページ範囲:P.301 - P.306

 側彎症に対するコトレル牽引療法については,1964年Cotrelが報告して以来,欧米をはじめ我国でも追試され,比較的良好な成績が得られることから保存療法の1つとして,又術前訓練による矯正可能区域の指標として現在も多くの整形外科医によって試みられ,その効果についての報告も多く出されている.しかし本法は自分の力で牽引力を調整できるという特徴を有しているが,至適牽引力についての検討はほとんどなされていない.
 当教室では,昭和54年より本法による側彎矯正角の変化をX線撮影および筋電図を用いた運動学的検討が行われている.これらの結果を報告する.

脳性小児麻痺児股関節亜脱臼に対する骨手術の経験

著者: 石田勝正 ,   長嶋哲夫 ,   山室隆夫

ページ範囲:P.307 - P.310

 痙直型脳性小児麻痺(独歩可能)の股関節亜脱臼による前股関節症(13歳,12歳)に対して骨手術(骨盤骨切り術と大腿骨内反骨切り術との同時手術)を行い,筋バランスを失うことなく疼痛の消失とレントゲン的な改善を得た,ここに示す程度の症例なら,12〜13歳まで待って上記手術をして改善の得られることを知ったので報告する.

外傷性膝蓋骨脱臼

著者: 伊藤晴夫 ,   菅井博哉 ,   加藤公 ,   白岡格 ,   大田斌人 ,   川井守

ページ範囲:P.313 - P.318

 外傷性膝蓋骨脱臼(acute traumatic dislocation of the patella,ATDP)は大部分のものは外側脱臼であり,解剖学的構築上の異常(脱臼素因)を伴うことが多い(表1).それを伴わないATDPは相当の外力が必要であり,発生も稀といわれている.またosteochondral fractureは膝蓋骨脱臼整復時に発生するものが大部分であることもよく知られた事実である.
 しかし,ATDPに関する報告は少なく,事実習慣性膝蓋骨脱臼(recurrent dislocation of the Patella,RDP)に移行して受診する機会が多いようである.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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