icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科19巻3号

1984年03月発行

文献概要

症例検討会 骨・軟部腫瘍13例

〔症例2〕右大腿遠位後面軟部腫瘍(Synovial Sarcoma)

著者: 磯辺靖1 川口智義1 網野勝久1 松本誠一1 真鍋淳1 北川知行2 町並陸生2 古屋光太郎3 荒井孝和3 和田成仁3

所属機関: 1癌研整形外科 2癌研整形病理 3東京医科歯科大学整形外科

ページ範囲:P.243 - P.246

文献購入ページに移動
 患者:37歳,男性
 昭和56年8月,右大腿遠位後面の径2cmの腫瘤に気付くも放置していた.自発痛,圧痛はなかった.さらに同年10月,近医を受診し,腫瘍と診断されたが放置していたところ,腫瘤は次第に増大し,疼痛が出現するにいたり,昭和57年5月8日,当科を受診した.当科初診時,右大腿遠位後面に8×9cmの境界明瞭,弾性硬の腫瘤をふれた.局所熱感はあるが,圧痛,拍動は認めなかった.骨,皮膚との可動性が認められた.Xerographyでは腫瘍境界が描出されず,偏位した筋膜像のみが認められることから,筋肉内腫瘍であることが診断された.腫瘍内には網状の石灰化,あるいは骨形成がみられた(図2-1).超音波検査では,大腿後面に6.9cmの長軸径を有するhypoechoicな腫瘍像が認められた.穿刺細胞診はclass Vであった.血管造影では著明に濃染するが,膝窩動脈の偏位や壁の不整はみとめられない.CT検査では,二頭筋内に,石灰化を伴う腫瘤像が認められた(CT値40〜48H.U.).同年5月19日,広範切除術を施行した.切除材料でみると,腫瘍は二頭筋内に限局しており,近位は腫瘍から6cmの距離で,遠位は同筋の骨停止部で切除され,横方向にはいずれも筋膜あるいは腱組織で被包されていた.切除材料の割面の観察では,腫瘍は帯白黄土色充実性で割面膨隆を示し,弾性硬で,ほぼ全周にわたって偽被膜を有していた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら