icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科19巻3号

1984年03月発行

文献概要

境界領域

ステロイド投与家兎にみられた大腿骨頭骨細胞の脂肪壊死

著者: 川井和夫1 玉木昭彦1 広畑和志1

所属機関: 1神戸大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.292 - P.300

文献購入ページに移動
はじめに
 副腎皮質ステロイド剤はそのすぐれた抗炎症作用のため広く臨床的に用いられている.一方,本剤の副作用として生体に種々の病的変化が生じることが報告されている.その代表的なものとして血液凝固能の亢進6,23),高脂血症37,41),脂肪肝37),潰瘍形成などがある.骨における変化としては,骨芽細胞の増殖が抑制され10,26),骨細胞の代謝も低下する8,34,42)ことから全身性のosteoporosisが生じる25,46)
 また大量のステロイド剤の投与は特発性大腿骨頭壊死(以下,INFH)発症と密接な関係があり19,47),木剤はINFHの重要な外的因子の一つに挙げられている7,18).しかしその成因に関してはステロイドのもつ副作用と関連して多くの説があり,いまだ定説はない.これらのなかでは大腿骨頭小血管での脂肪栓塞7,8,15,16,25)や骨髄内圧上昇1,11,12,49)に伴う大腿骨頭の虚血が最も重要視されている.これまでの研究ではいずれも「虚血」が前提となって,虚血をきたす原因だけが追求されてきたと言える.一般的にINFHの大腿骨頭には,骨髄内静脈造影所見や内圧の検索1,11,12,22,44)から虚血性変化が生じていることは事実である.しかしこれが一次的変化なのか二次的変化なのかは明確にされていない.実際大腿骨頭の脂肪栓塞像や骨髄内圧の上昇所見はOA患者にも同様の頻度でみられることが報告されている17,31,43).そのため最近では原囚は不明ながら,骨ならびに骨髄細胞へのtoxic factorを重要視する報告もみられるようになった17,20,21,29,30,31,48)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら