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特集 頸部脊椎症(第12回脊椎外科研究会より)
頸部脊柱管狭窄症の脊柱管前後径に関するX線学的検討
著者: 肥後勝1 酒匂崇1 鈴木悠史1 松本玲子1 伊藤博史1 小桜博幸1 西百香里1 野口義雄1
所属機関: 1鹿児島大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.361 - P.366
文献購入ページに移動頸部脊椎症の発症因子として従来,椎間板の膨隆,骨棘による脊髄圧迫,動的不安定椎18),歯状靱帯による牽引11),黄色靱帯の肥厚や膨隆20),脊髄の血行障害21)等の種々の因子の関与があげられている.この他に重要な因子として脊柱管前後径が重要なfactorを占めていることはWolf23),PayneとSpillane17)が指摘した.Hink7,8)はこの脊柱管狭小という状態はdevelopmental anomalyであり,developmental canal stenosisの状態にあると,脊髄は脊柱管内にあって余裕を失い,椎間板ヘルニア,軽微な頸椎症性変化あるいは黄色靱帯肥厚などの後天的要囚により,容易に脊髄圧迫障害が出現するとした.
Developmental canal stenosisの診断は一般には,頸椎X線側面像で椎体後縁部と棘突起基部間の距離を測定し,固有脊柱管前後径として表現されるが,その数値に関しては報告者により多少の差異があり,いずれの値をもって脊柱管狭窄とするか不明瞭な点がある.このような理由より,developmental canal stenosisの固有脊柱管前後径の値に検討を加える目的で,正常人,頸肩腕症候群,頸部脊椎症の症例で測定を行い,検討を加えたので報告する.
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