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特集 頸部脊椎症(第12回脊椎外科研究会より)
頸椎症性脊髄症における責任椎間板高位の神経学的診断
著者: 国分正一1
所属機関: 1国立療養所西多賀病院整形外科
ページ範囲:P.417 - P.424
文献購入ページに移動頸椎症性脊髄症における脊髄症発症の椎間板高位,すなわち責任椎間板高位の神経学的診断については,神経根症の場合と異なり推定が困難であるという否定的見解が多い3,5,13).確かに,頸椎症性脊髄症の症状と所見は多様かつ複雑である.しかし,障害髄節の灰白質に由来するsegmental signを捉えることで,神経学的診断は可能であると考えられる.
昭和42年(1967),安間16)は単一椎間板障害の頸椎症性脊髄症44例の上肢症状を,初めて責任椎間板高位決定の視点から神経学的に分析した結果を報告し,上肢症状はおのおのの障害高位の特徴を示しており,症状から責任椎間板高位が推定できる症例が多いと結論した.その後,福田ら4)の類似の報告がみられるが,しかし,いずれの論文も明確な診断指標を呈示しておらず,神経学的高位診断に否定的な見解を打ち破るには至らなかった.
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