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特集 頸部脊椎症(第12回脊椎外科研究会より)
頸椎症性脊髄症における手術術式の適応と選択—CT-myelographyにおける頸髄形態を中心として
著者: 小林彰1 井上駿一1 渡部恒夫1 永瀬譲史1 原田義忠1 千賀啓功1 重田博夫1 宮坂斉2
所属機関: 1千葉大学医学部整形外科学教室 2長野県立須坂病院整形外科
ページ範囲:P.457 - P.464
文献購入ページに移動頸椎症性脊髄症に対する手術的治療法は前方法と後方法に大別されるが,我々の教室では1960年以来,本症に対して主として前方法を採用し良好な成績をおさめてきた6,12,13).しかしながら脊柱管狭小例において手術成績のやや劣る傾向が認められ10,12),又,長期経過において大多数の症例は安定した成績をおさめているものの極く一部に徐徐に成績の低下している症例がみられる9,11).他方,後方法においても脊柱管拡大術が行われるようになり,頸椎症性脊髄症に対する手術術式は多様化し,再検討すべき時期に入っている.
一方,水溶性造影剤metrizamideの登場,高解像力CTの出現によりCT-myelography(CTM)を行うことが可能となり,脊髄の形態の変化を直接的にとらえる事ができるようになった2,14,15).今回,筆者は教室において手術療法を行った頸椎症性脊髄症症例についてCTMにより脊髄の形態的変化を観察し,臨床症状の推移との関連を求めた.更に脊髄形態の変化より手術術式を検討し,多様化している現在の手術術式の選択に関する考え方を述べると同時に,手術成績向上のための手術手技の改善につき報告を行うものである.
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