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特集 頸部脊椎症(第12回脊椎外科研究会より)
頸椎後方除圧時の後側方固定術症例の手術成績
著者: 宮崎和躬1 多田健治1 中山裕一郎1 日浅浩成1 中野彰夫1 杉谷繁樹1 中井徹1
所属機関: 1天理病院整形外科
ページ範囲:P.473 - P.482
文献購入ページに移動頸部脊椎骨軟骨症の術後1年以上経過した椎弓切除術例90例の術後成績と頸椎後縦靱帯骨化症の術後1年以上経過した椎弓切除術例129例の術後成績を比較検討すると,同じ術者が同じ広範同時除圧椎弓切除術を行っているにかかわらず,前者は有効以上75.2%,後者で86.8%と両者の間に成績の差が10%以上もあることがわかった.さらに,頸部脊椎骨軟骨症の90例について頸椎の不安定性増強の有無を検索すると,検索出来た症例77例中術後不安定性増強例は13例16.9%で,これら13例中3例が術後成績悪化例であった.これは頸部脊椎骨軟骨症90例中の術後成績悪化例6例のうちの50%に当る.このように,頸椎症性脊髄症の椎弓切除術症例において,術後の不安定性増強の有無が術後成績を左右する大きな要因のひとつであると思われる.そして,頸部脊椎骨軟骨症は,頸椎の運動性が減少している頸椎後縦靱帯骨化症に比べて頸椎の運動性が大きいうえに,さらに不安定性の要素が加わって術後の頸髄に悪影響を与えて,頸椎後縦靱帯骨化症より術後成績が低下しているのでないかと思われる.
以上の理由から,頸椎症性脊髄症において,術前の頸椎の機能撮影にて不安定性が証明されて椎弓切除術を行う必要のある症例に対して術後の不安定性の増強を予防するために,また,若年者の頸髄腫瘍の症例に対しても腫瘍摘出後の頸椎のswan-neck変形を予防する目的で,頸椎の後方除圧時に後側方固定術を加味した手術法を考案した.
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