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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科19巻7号

1984年07月発行

文献概要

視座

最近考えさせられること

著者: 井上四郎1

所属機関: 1岐阜歯科大学附属村上記念病院整形外科

ページ範囲:P.737 - P.738

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 総合的な医学雑誌に日本の医療の質は二流国ではないかと,誠にショッキングな記事が出ていた.それによると,日本の車やテレビ,エレクトロニクスは世界を席巻しているが,世界から争って日本の医療を受けに来るということをきかない.その差は品質管理の徹底さによるのではないか.日本の車は安さで売れるのではなく,品質の高さ,燃費の良さ,故障の少なさで売れるのである.わが国の病院医療の平均在院日数の異常な長さ,すなわち治療に日数がかかることは医療の質が二流国であるためと論じていた.日本の事情を考えずにストレートに在院日数の長さを医療の質の評価に結びつける一般の常識には驚いた.
 われわれ整形外科医の立場から反論すると,具体的な例として,骨折や軟部組織の修復には動かし難い生物的な日数を要するため,ギプスを巻いた時点や松葉杖歩行が可能になった時点で退院させようとする.ところが病人や家族が承知しないことを再再経験するところである."死ぬまで入院させておいてほしい"とか"翌日から仕事に行けるようになるまで入院させておいてほしい"とか頼まれることが少なくない.何故,こんな事態になってしまったのであろうか.思いつく事情を列挙すると,まず,これは悪いことではないが,医療を受けても個人がお金を支払う必要がなくなったこと.生命保険等で入院に限り1日につき5000〜10000円が支払われること.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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