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論述
人工腱板による陳旧性広範囲腱板断裂の機能再建
著者: 尾崎二郎1 藤本誠1 増原建二1
所属機関: 1奈良県立医科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.756 - P.764
文献購入ページに移動腱板断裂に対する手術的治療は,1909年に行われたCodmanの症例が最初とされている.彼は,"The Shoulder"という自著のなかで,受傷後5ヵ月経過した52歳,女性の陳旧性広範囲腱板断裂に対し,腱板断端部を大結節に絹糸で縫合しようと試みたが,断裂した腱板を大結節まで引きつけることができず,欠損部を残したまま手術を終えたことを記載している(suture a-distance)2).
その後,腱板断裂に対する手術法は,診断法と病態の解明の進歩とともに,多くの術式が報告されてきた3,4,9〜11,16).しかし現在においても重要な課題の一つとして残されているのは,Codmanが当時苦慮した陳旧性広範囲腱板断裂に対する手術法の確立である.
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