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論述
特発性大腿骨頭壊死の自然経過例の検討
著者: 長谷川功1 増田武志1 東輝彦1 紺野拓志1 高橋賢1 松野丈夫1 平井和樹2 深沢雅則3
所属機関: 1北海道大学医学部整形外科学教室 2北海道整形外科記念病院 3札幌鉄道病院整形外科
ページ範囲:P.991 - P.997
文献購入ページに移動特発性大腿骨頭壊死は,はなはだ難治性の疾患であり,その治療にあたっては病像に即した適切な治療法を選択する必要がある.その治療方針は,初期では骨頭の陥没変形を防止する事であり,末期では関節機能の再建である.当科では従来より表1に示した病期分類に従いIII期までは骨頭を温存する骨移植術または各種骨切り術を,IV,V期に対しては関節形成術を原則としてきた.いずれにせよ,本疾患は小児のペルテス病と異なり,壊死骨の白然修復が起こりにくく,またあっても緩徐であり,手術的治療がその中心となる.しかし,症例によっては長期に亘って骨頭の陥没変形が進行しない例もあり,そのような例を事前に把握する事は無用な手術的治療を加えない上で肝要な事である.今回,全身状態より手術不能の例,臨床症状の軽微な例,および関節形成術の適応としかならないが,まだ若年の例などに対してADL指導をし経過観察を行ってきた.これらの例について,本疾患の自然経過を知る目的で検討を加えた.
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