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手術手技
大腿骨下端部骨折の手術
著者: 嶋良宗1
所属機関: 1和歌山県立医科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.1222 - P.1228
文献購入ページに移動大腿骨下端部骨折は,大腿骨骨幹部骨折より,その発生頻度は少ないが,最近の交通事故や労働災害などの激増によつて,増加する傾向にある.この骨折の治療は,通常,困難で,適切な治療方針を指示し,かつ,実行しなければ,後に,変形治癒,仮関節や,膝関節の機能障害を残す場合がしばしばである.この部分の骨折の合併症として注意しなければならないことは,骨折片による,血管,神経の損傷や膝関節上嚢部(suprapatellar pouch)の癒着,大腿四頭筋,M. articularis genuなどの損傷によつておこる,膝関節の高度の拘縮や,顆部関節内骨折では,将来,2次性膝関節骨関節炎を惹起してくるなど,膝の内外反,慢性関節水腫,関節側方動揺性など,多くの障害をおこす可能性が十分にある.
それゆえ,これら合併症を最少限にくい止め,より早く骨癒合を完成させるように工夫し,早期に膝関節運動練習を行ない,膝関節拘縮や強直がおこらないようにすることが,この骨折を治療する上に,いつも頭に入れておかなければならない最も重要な点であるとともに,また困難な点でもある.
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