臨床整形外科2巻6号

1967年06月発行

シンポジウム 腰痛

腰椎の不安定性と腰痛

著者： 恩地裕¹ 城戸光²

所属機関： ¹大阪大学医学部麻酔科 ²大阪済生会西成病院整形外科

ページ範囲：P.611 - P.618

はじめに
　腰痛を論ずるに当つて一番困る問題は，客観的な診断手段として，レントゲンだけしかないことである．第2項でのべるように，非常に多くの原因によつて腰痛がおこりうるにかかわらず，診断手段としてレントゲンだけしかないことが，腰痛の診断に当つて，独断と先入主にとらわれうる危険を多くはらませる結果となつた．そこでまず，疼痛感受の一般的な問題について論じ，次に腰痛発生の一因子となりうるであろう安定椎と，そのレントゲン的診断についてのべてみる．