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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科20巻1号

1985年01月発行

文献概要

臨床経験

孤立した膝蓋上包に特発性出血をきたした1例

著者: 高橋勇二1 古賀良生1 間渕公一郎1 浅井忍1

所属機関: 1新潟大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.85 - P.88

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 抄録:膝固有関節腔と交通を持たない孤立した膝蓋上包に限局した特発性出血をきたした症例の治療経験を報告する.症例は46歳の女性で,10年来の高血圧の合併があり,外傷の既往はなく,右膝の運動時痛で発症し,5カ月間にわたり右膝蓋上包への穿刺により頻回の血性排液が得られていた.検査成績ではRumpel-Leedeテスト陽性以外異常はなく,単純X線,関節造影,関節鏡検査から孤立した膝蓋上包の特発性出血を疑い,膝蓋上包を摘出した.手術および組織学的所見では,3カ所の出血点と肥厚した滑膜間質の小血管の増生を認めたのみであった.術後7カ月を経過した現在,再発はみられていない.なお,本症例の出血の原因は,滑膜小血管の脆弱性が基盤にあり,機械的刺激により出血をきたし,滑膜絨毛の軽度の増殖や血管の増生を促し,さらに出血しゃすい状態になったためと推論された.また,高血圧の合併も関与している可能性が考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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