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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科20巻11号

1985年11月発行

文献概要

シンポジウム 骨肉腫の化学療法

骨肉腫の化学療法—イントロダクション

著者: 古屋光太郎1

所属機関: 1東京医科歯科大学・整形外科

ページ範囲:P.1267 - P.1267

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 骨肉腫の予後はかつては極めて不良であり,1970年代の初めまでは2年生存するのは約20%で大部分の患者は,切断後6〜9ヵ月でX線上に肺転移が認められ1年以内に死亡していた.このことは診断時に既に肺に微小転移が存在することを意味し,化学療法の重要なことが示唆された.1972年に骨肉腫肺転移症例に対しCortesらはAdriamycin(ADR)が有効であると報じ,またJaffeはVCRとHigh-Dose Methotrexate with CF rescue(HD-MTX+CF療法)が効果のあることを証明し,以来世界的に骨肉腫のadjuvant chemotherapyに使用されるようになった.この頃よりSutowらによるCyclophosmide(CPM),Phenylalanine Mastard(PAM),MTX,ADR,Vincristin(VCR)を併用したCOMPADRI regimenが行われ,またRosenらはHD-MTX+CF rescueにADRその他の多剤を加えたTプロトコールを作り,骨肉腫の系統的な治療が開始され良好な成績が次々と報告されるようになった.また1970年代の後半よりcisplatin(CDDP)が転移性骨肉腫に使われ有効性が証明され,FreemanやEttingerら,またRosenらにより,骨肉腫のadjuvant chemotherapyとして使われ,次第に広く用いられるようになってきた.
 現在の趨勢として,VCR,HD-MTX+CF療法を中心にADRとCPM,CDDPなどを種々組み合せて1年ないし2年にわたり系統的に強力な化療を行うのが一般的である.ちなみに1980年より筆者が班長として全国15施設で骨肉腫に対して行ったHD-MTX・ADR・CPM療法の共同研究の結果は以下のとおりである.長管骨発生の25例のうちdiseage freeは10例で生存期間は26〜42ヵ月に及び,3年半のover allの累積生存率は58.4%でdisease freeの生存率は40%であった.転移を起こした15例のうち10例に肺切除術が行われ,4例がNEDで1例が転移巣残存するも生存しており肺手術例の3年生存率は45%となる.これらの結果はSutowのCOMPADRI Ⅱ,Ⅲのレジメの成績とほぼ同程度であり,現時点の平均的な骨肉腫の成績といえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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