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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科20巻11号

1985年11月発行

文献概要

臨床経験

胸椎包虫症の1例

著者: 相澤利武1 佐藤光三1 小池正男1 岩井和夫1 渡部仁吉1 佐藤哲朗1 若松英吉1

所属機関: 1東北大学医学部整形外科教室

ページ範囲:P.1345 - P.1348

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 抄録:包虫症が胸椎に発生し両下肢不全麻痺をきたした1例を経験した.症例は47歳の女性で昭和50年肝包虫症による肝右葉切除の既往歴をもつ,昭和58年背部痛を主訴として来院.単純X線像ではTh9椎体の右後半部の骨破壊が認められ,断層像で椎体残存部の骨硬化像,CT像で傍脊椎軟部組織の腫大が認められた.転移性骨腫瘍,脊椎カリエス等も疑い精査したが確定診断は生検を行うまで困難であった.その後,脊髄症状が進行し両下肢不全麻痺,排尿障害が出現したため,椎弓切除,Harrington rodを用い後方固定,前方より病巣掻爬,骨移植を行った.術後麻痺は改善し,rodの入れ換え,右第4肋骨病巣の切除のため再手術を行ったが,現在は病巣は鎮静化し日常生活に復帰している.化学療法としてmebendazoleの投与を行い現在も継続中である.脊椎包虫症による麻痺に対しては病巣切除,椎弓切除による除圧,instrumentationによる早急な脊柱支持性の確立は有効な治療法と考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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