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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科20巻6号

1985年06月発行

文献概要

臨床経験

特異な形態を呈した腰仙部類皮嚢胞の1例

著者: 井上恵介1 岩崎洋明1 三井宜夫1 浅野正文1 五島淳1 増原建二1

所属機関: 1奈良県立医科大学整形外科学教室

ページ範囲:P.772 - P.776

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 抄録:脊椎管内に発生する類皮嚢胞は,比較的稀なものとされているが,我々はその中でも稀な先天性皮膚洞を伴い,脊髄円錐から終糸にかけて発生し,特異な形態を呈した類皮嚢胞の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.症例は8歳男子,主訴は腰痛および両下肢痛で,腰椎前屈制限と歩容異常に気付いていた.仙骨部正中に皮膚陥凹がみられるが排液はなかった.著明な腰椎前屈制限と項部硬直があり,神経学的にはLaségue徴候左右共50°陽性.単純X線上,仙骨部の2分脊椎とL2からL5の椎体後縁に前方凸の弧状変形があった.脊髄造影ではL5下縁で完全ブロックを呈した.手術所見では,腫瘍は終糸の存在部位と一致しており,脊髄円錐から仙骨部皮膚洞まで存在していた.病理学的に類皮嚢胞と診断された.術後には脊髄終糸緊張の症状は消失した事から,本症例は,類皮嚢胞,皮膚洞,二分脊椎,脊髄終糸緊張症を合併した珍しい症例と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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