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臨床経験
クモ膜下腔に転移した悪性胸腺腫の1例
著者: 竹川克一1 伊藤俊介1 藤井充1
所属機関: 1宇和島社会保険病院整形外科
ページ範囲:P.1089 - P.1093
文献購入ページに移動胸腺腫は比較的稀な疾患で正岡らの統計で年間768例で,悪性のものは一般に近接臓器に浸潤し,遠隔転移をきたすことは稀である.Seyboldは,1950年49例の胸腺腫の精査にて,遠隔転移はないとし,Bernatzは1961年138人中2人に遠隔転移を認めたにすぎない.転移は主として肝・腎が多く,中枢神経系への転移は我々の検索しえた範囲では14例で,うち脊髄へ転移したものは6例しかなく,クモ膜下腔に転移し,ミエログラフィーにて孤立性の騎袴状陰影を呈したとの報告はなく,きわめて稀な症例であると思われ,文献的考察を加えて報告した.
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