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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科20巻9号

1985年09月発行

文献概要

臨床経験

クモ膜下腔に転移した悪性胸腺腫の1例

著者: 竹川克一1 伊藤俊介1 藤井充1

所属機関: 1宇和島社会保険病院整形外科

ページ範囲:P.1089 - P.1093

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 抄録:症例は73歳男性.左下肢しびれを主訴として来院し,ミエログラフィーにて完全ブロック騎袴状を呈したため椎弓切除,腫瘍摘出術を施行.病理学的に転移性悪性胸腺腫の診断を得た.術後6カ月にて主訴は消失した.
 胸腺腫は比較的稀な疾患で正岡らの統計で年間768例で,悪性のものは一般に近接臓器に浸潤し,遠隔転移をきたすことは稀である.Seyboldは,1950年49例の胸腺腫の精査にて,遠隔転移はないとし,Bernatzは1961年138人中2人に遠隔転移を認めたにすぎない.転移は主として肝・腎が多く,中枢神経系への転移は我々の検索しえた範囲では14例で,うち脊髄へ転移したものは6例しかなく,クモ膜下腔に転移し,ミエログラフィーにて孤立性の騎袴状陰影を呈したとの報告はなく,きわめて稀な症例であると思われ,文献的考察を加えて報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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