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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科21巻1号

1986年01月発行

シンポジウム 骨盤臼蓋の発育

発生学からみたヒト寛骨臼の発育について—先天股脱における前方欠損の発生メカニズム

著者: 綿貫昭則1 桜井啓一1 松崎交作1 岡安勤1 西田仁丸1 嶋良宗1

所属機関: 1和歌山県立医科大学整形外科学教室

ページ範囲:P.25 - P.32

文献概要

 抄録:ヒト成人の寛骨臼では,その臼縁が円形を呈するものは僅かで,真の球状の場合は意外に少ない.胎児から新生児における寛骨臼は,その臼縁は頭尾側方向に長い楕円形を呈し,月状軟骨面は背側のみが優位で腹側に向い大きく開いている.これは猿の寛骨臼に類似しており,直立二足歩行の中間位に下肢を保持すると,骨頭は外偏し臼蓋との間に不適合が生じてくる.学童期の寛骨臼でも,後方に比べ前方寛骨臼は貧弱で,Y軟骨部はT字形を呈している.これに比べヒト成人の寛骨臼縁は,より円形に近く恥骨上枝,腸恥隆起,腸骨の前下方部がよく発育し,直立二足歩行に際し骨頭を前方からよく包み保持している.つまり,ヒトとしての球型の安定股になるためには,前方臼蓋の後天的な発育が要求される.CDHなどの股関節に異常が生じた場合,この部の発育はとくに阻害され,臼の前方欠損としてあとに大きな問題をのこす.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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