シンポジウム セメントレス人工股関節
セメントレス人工股関節(R. Judet)の手術手技の問題点と治療成績
著者:
弓削大四郎1
所属機関:
1山口県立中央病院整形外科
ページ範囲:P.1321 - P.1328
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抄録:R. Judetのセメントレス人工股関節全置換術を1976〜1986年の10年間に127例,145関節を行った.この人工股関節の形状,関節機構,多孔性表面への新生骨進入による錨着という特性のため,他のあらゆる人工股関節に比べて手術手技には特異性があり,特殊な手術器械を使いこなすための習熟度が要求される.手術手技上の問題点は,第1に二次性変股症で寛骨臼の不定型なかつ骨性ストックの乏しい症例に対して円柱形の人工臼を十分に収容するための骨性洞孔を作り,これを理想的な角度に固定するためのテクニックであるが,このためcenter-hole drillを作り,Protrusion acetabulaireという方法を開発した.第2は骨髄腔の狭窄な症例の大腿ステム挿入時の骨折にR. Judetのbracelet élastequeを用いることで満足すべき結果をえている.
術後2年以上経過したPrimary T. H. R.(69例,83関節)の治療成績は優と良が83.1%(術前2.4%)で,改善度は43.4点(J. O. A.評価)であった.Revisional T. H. R.(すべてloosening)では臼側5例のうち優と良は2関節76点,大腿側は2関節とも良93点であった.