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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科21巻12号

1986年12月発行

文献概要

シンポジウム セメントレス人工股関節

何故セメント使用の人工関節を行っているか

著者: 寺山和雄1

所属機関: 1信州大学整形外科

ページ範囲:P.1356 - P.1357

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 1.骨セメントの功罪
 形状の完全に一致しない固体を接合しようとするときに,界面間に流体を注入し,その流体が硬化することによって接合されるのはもっとも合理的である.いかに骨母床との適合性のよい人工関節であっても,流体を注入するほど広い接触面積を獲得することは不可能である.現在用いられているアクリル骨セメントには問題があるものの,セメントという形で人工関節を固定しようという理念は間違っていない.骨セメントそのものには接着能力はなく,骨表面の凹凸に密に入り込んだセメントが硬化して錨着されるだけである。よって骨セメントは主として圧縮応力を分散伝達するのに役立ち,引張り応力には原則として抵抗しうるものではない.骨セメントは皮質骨と海綿骨の中間の弾性率を有し,人工関節部品に加わった応力を無理なく皮質骨に伝達する.このような性質をもつ骨セメントは即時性にかつ簡便に人工関節を骨母床に固定させることができる優れた材料であり,この特性を活かして使用される限り十分な耐用性が期待できる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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