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雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科21巻2号

1986年02月発行

雑誌目次

視座

日本リウマチ学会登録医について

著者: 七川歓次

ページ範囲:P.115 - P.115

 日本リウマチ学会の十数年にわたる夢はリウマチ科の標榜の実現である.昭和50年5月に神経内科及び形成外科が新しい標榜科として許可された.これに刺激されてか,また時代の気運か昭和53年5月,日本リハビリテーション医学会よりリハビリテーション科,昭和55年4月,日本リウマチ学会よりリウマチ科の申請がなされ,その後内分泌代謝科,児童精神科,未熟児科,心療内科,内視鏡科,総合診療科などの診療科名要望が次々に厚生省に出された.現在の標榜科の主流が系統別であるため,リウマチ科が疾患群に属する名称であっては,認可はされにくい.そのため日本リウマチ学会では認可促進の方針として,リウマチ科標榜の受皿となる認定医(のちに登録医にかわる)制度をまず発足させ,その上で標榜科をかちとるということで,昭和59年,リウマチ標榜科・認定医制度検討委員会を設置して,登録医制度案の作製にかかった.これより先,この作業の一環として会員に対するアンケート調査がなされている.これが昭和57年,森益太日整会会長の時に日整会会員に大きな波紋を投げかけたことはまだ記憶に新しいところであり,その対策としてその翌年日整会関節疾患委員会が設置された.
 我が国におけるリウマチ,特に慢性関節リウマチの診療は永年にわたり主に整形外科医によってなされてきた.リウマチ科の登場は,リウマチ学の対象疾患が整形外科の扱う疾患の大部分を包含している事実とからんで,整形外科医に少なからず困惑と拒絶感を抱かせたのも無理のないところである.

論述

J型セラミック大腿人工骨頭の開発と臨床成績

著者: 伊丹康人 ,   今井敬人 ,   室田景久 ,   富田泰次 ,   谷吉彦 ,   井上哲郎 ,   下小野田曄夫 ,   原田雅弘 ,   長谷川芳男 ,   別府諸兄

ページ範囲:P.116 - P.123

 抄録:著者は1952年以来,片山-平川式アクリル人工骨頭を股関節に用いてきた経験から,骨頭球の大きさが,臼蓋の大きさに対して解剖生理学的に適切なものであれば,長期に亘って臼蓋の変化を最小限度にとどめうる事を知った.よって日本人の大腿骨骨頭の大きさを調査した結果にもとづき,38mm-2mm間隔-50mm径の7種類のチタニウム人工骨頭を開発して使用してきたが,骨頭軸の太さも使用症例の骨髄腔に適合したものが最適である事に気づいた,よって,38mm-50mmまでの7種類のセラミック骨頭と,4種類の太さの316Lステインレススティール製の骨頭軸を,テーパースリーブで組合せて,32種類のセラミック人工骨頭を,症例に応じて使用できるようにした.その結果141例に用い,最長3年6ヵ月間の経過を観察,正しい手術術式を行えばきわめて満足すべき成績がえられる事実を,使用骨頭の大きさの決定方法並びに必ず守らねばならぬ手術術式等と共に報告した.

両側変股症における片側THRの反対側に対する影響

著者: 井上謙一 ,   安藤御史 ,   小沢一広 ,   宮本守孝 ,   有山弘之

ページ範囲:P.125 - P.130

 抄録:〈目的〉両側変股症に対する治療法として当科では一側にTHRを行い他側は可及的に待機する方針で治療してきた.今回両側変股症における片側THRの反対側に及ぼす影響とTHR側の状態について一定の知見を得たので報告する.〈対象および方法〉両側変股症で片側THR後6ヵ月以上経過した29例について非手術側の臨床成績とレ線所見について検討した.手術時年齢は41歳から73歳平均58.2歳で,経過観察期間は7カ月から84ヵ月平均41.6ヵ月であった,THR側の状態は片側変股症で片側THRを行った26例と比較検討した.〈結果〉24例で非手術側の臨床成績が改善し,疼痛と歩行能力の改善が大であった.レ線上改善していたものは10例で,THR後1年以内に9例で関節裂隙の拡大が見られた.THR側に関しては,両側変股症と片側変股症の間に有意差はなかった.

先天性内反足に対する早期軟部組織解離術の成績—後方解離・後内方解離・後外方解離の成績の比較検討

著者: 門司順一 ,   松野誠夫 ,   佐々木鉄人 ,   八木知徳 ,   飯坂英雄 ,   安田和則 ,   加藤哲也 ,   須々田幸一

ページ範囲:P.131 - P.139

 抄録:一定の初期治療プログラムにもとづき,生後1歳未満に早期軟部組織解離術を施行されたものの成績を検討した.対象は後方解離術42例55足,後内方解離術23例26足,後外方解離術33例54足で,73%〜85%のものを平均4年〜6年5ヵ月経過を観察し得た.術式毎の比較検討の前提になる症例の重症度は,後方解離術でやや軽症のものが多かった以外,3群の間には差異がなかった.後方解離群ではやや前足部内転変形遺残が多く,歩行時の前足部内転やtoeing-in gaitは後外方解離群が他の2群に比べて明らかに出現頻度が少なかった.また後内方解離群では距骨下関節の他動的可動域に中等度以上の制限をみるものが多かった,これらの点では後外方解離が最も良好な結果を得ていたが,McKayの評価表を一部改変したものを用いての横断的評価では3群の間に差異はなく,今後の検討のためにはより適切な臨床評価法の確立が望まれる.

脊髄損傷患者の異所性骨化に対するDisodium Etidronate(EHDP)の効果の検討

著者: 佐々木邦雄 ,   芝啓一郎 ,   植田尊善 ,   山野耕一郎 ,   浅川康司 ,   古森元章 ,   森永政博 ,   高嶋研介 ,   角田信昭 ,   吉浦光三 ,   江口正雄

ページ範囲:P.141 - P.147

 抄録:我々は,脊髄損傷患者に好発する異所性骨化に対する治療の一手段として,骨組織の石灰化抑制作用を有するdisodium etidronateの投与を行い,本剤の効果・副作用について検討を行った.投与は,20mg/kg/日を2週以後10mg/kg/日を10週間,計12週間経口摂取にて行った.効果は,投与終了時及び最終時(投与終了後6ヵ月)の局所所見・関節可動域・血清アルカリフォスファターゼ(以下Al-phと略す)値・レ線所見にて判定した.骨化の進行防止を目的として使用した症例は12例であり,最終時,関節可動域改善は33%にみるも,レ線学的改善を示した症例はなく,不変50%進行50%であった.Al-ph値は15KAU以上が投与前8例・終了時6例・最終時1例であった。副作用として,胸腰椎部損傷例の前方移植骨の骨癒合遅延が2例に存在した.中等度骨化・Al-ph値15KAU以上の症例の投与中止時期の決定が問題と考えられた.

整形外科を育てた人達 第35回

Pierre-Joseph Desault(1744-1795)

著者: 天児民和

ページ範囲:P.148 - P.151

 Desaultの名は鎖骨骨折の固定包帯でよく聞く名であったが,新しい技術が開発され最近ではあまり耳にしなくなったフランスの外科の開拓者の一人である.

臨床経験

肩甲骨に発生したMassive osteolysisの1例

著者: 原寛 ,   望月一男 ,   石井良章 ,   河路渡 ,   福住直由 ,   小田和金重

ページ範囲:P.153 - P.158

 抄録:Massive osteolysisは,進行性に骨の破壊吸収をきたす疾患であり,未だその病因は解明されていない.その報告例は極めて少なく,本邦では6例,欧米では104例をみるにすぎない.今回我々は,右肩甲骨に発症したmassive osteolysisの症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.症例は14歳男子で,昭和57年誘因なく右肩甲部痛を主訴として発症し,初診時のX線所見にて右肩甲骨体部以下の欠損をみとめ精査の結果,massive osteolysisと診断し,放射線治療により一時的に骨吸収の停止をみたが,昭和59年,再び骨吸収の急速な進行をきたし再度の放射線治療により経過観察中である.

多発性皮下腫瘤形成を伴った手関節滑膜軟骨腫症の1例

著者: 北澤久也 ,   岩崎安伸 ,   鵜飼和浩 ,   水野耕作 ,   廣畑和志

ページ範囲:P.159 - P.164

 抄録:症例は29歳男性,約1年前より左手関節の鈍痛と軽度可動制限を生じ,手関節周囲の3個の皮下腫瘤を主訴に昭和59年7月本科を受診.X線像,CTで舟状骨,有鉤骨,橈骨末端部に侵蝕像を認め,又手関節造影,腱鞘造影より橈骨手根関節内に多発性結節病変がある事と皮下腫瘤は腱鞘と関係のない事を認め手関節滑膜軟骨腫症を疑い腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は白色で軟骨様で茎を有し関節との関連が示唆された.関節内に遊離体はなく,多発微細結節を有する滑膜が見られた.組織学的には典型的な軟骨腫症であったが,滑膜には成熟軟骨細胞より成る結節以外に異染性を示さない幼弱な軟骨細胞より成る結節も多数認めた.電顕的にも滑膜表層線維芽細胞から幼弱軟骨細胞,成熟軟骨細胞へと移行する像を認め,本症の発生原因として化生説を裏付けるものである.本例のごとく関節外への脱出した症例は,報告が少ない.

手指骨より初発したサルコイドージスの1例

著者: 藤田資文 ,   横山正弘 ,   本郷一郎 ,   柳谷幸敏 ,   花井淳

ページ範囲:P.165 - P.168

 抄録:サルコイドージスの骨病変はよく知られているが,本邦における報告は比較的少なく,自験例も含め28例である,このうち約半数が皮膚科領域における報告である.骨病変を有する場合,すでに肺病変や皮膚病変を伴う事が多く,自験例のごとく骨より初発する例は3例にすぎない.
 症例は,49歳女性,右小指の腫脹及び疼痛を主訴として来院した.初診時X線像では,胸部に全く異常を認めず,右小指基節骨に嚢状骨透亮像が存在した.試験切開では,基節骨髄内より発生した肉芽が,皮質を破壊し周囲組織に侵入していた.組織学的には,炎症細胞の浸潤を伴った類上皮細胞結節が所々に見られたが,特異的な変化はなく,乾酪壊死も認められなかった,経過観察をしていたところ,頸部リンパ節腫脹が出現し,同部の生検により,典型的なサルコイドージスの像を得た,そこでステロイドの内服を開始し,臨床症状の改善をみた.

化膿性仙腸関節炎の1例

著者: 吉田茂樹 ,   作山洋三

ページ範囲:P.169 - P.172

 抄録:症例は26歳女性.昭和58年4月6日出産,その後発熱あり,腎盂腎炎として治療されたことがある.同年8月右臀部に癤が出現し,治癒するもその後より発熱と右臀部痛あり,9月1日当科を受診した.初診時所見は発熱と右仙腸関節周囲の圧痛が著明であり,臨床検査上急性炎症を思わせる所見が得られた.右仙腸関節部の断層撮影,CT scanで同部の異常所見がみられ,bone scintigraphyで同部に明らかな集積像が得られた.同年9月14日観血的生検術を行い,培養でStaphylococcus aureusが検出され,また病理組織はosteomyelitisの像であった.生検施行後より症状は軽減し,起因菌に感受性のある抗生剤投与を行い,症状の鎮静化を得た,再燃はみていない.非常に稀な化膿性仙腸関節炎の1例を文献的考察とともに発表した.

股関節の離断性骨軟骨炎

著者: 前田昌己 ,   玉井昭 ,   浅野正文 ,   大根田豊 ,   五島淳 ,   佐々木裕次 ,   増原建二

ページ範囲:P.173 - P.176

 抄録:離断性骨軟骨炎の好発部位は肘および膝関節であり,股関節部での発生はきわめて少ない.われわれは,これまでに股関節部離断性骨軟骨炎の4症例を経験し,その成因について検討したので報告する.現在までに報告された股関節部離断性骨軟骨炎は,そのほとんどが原因不明で特発性とされ,わずかにペルテス病と先天性股関節脱臼が本症に移行する原因疾患として報告されているにすぎない.自験例では,全例に臼蓋形成異常および骨頭変形など股関節部に何らかの異常を伴っており,従来考えられていた特発性のものは少なくペルテス病や先天性股関節脱臼後に生じたペルテス様変化に代表される大腿骨頭への阻血性病変の関与が考えられた.

Crush cleavage fractureの2症例

著者: 井上貞宏 ,   東野修治 ,   原田征行 ,   近江洋一 ,   大竹進 ,   中野恵介 ,   安川幸廣

ページ範囲:P.177 - P.181

 抄録:Crush cleavage fractureは1983年Svenらにより報告された胸腰移行部の粉砕骨折のsubtypeである.本骨折は上位椎間板損傷,椎体上半部のburst fracture,椎体下半部のsagittal fracture,脊柱管内への骨片の突出及び椎弓骨折の特徴を有しunstable fractureであると考えられている.今回我々はCT scanを用いて本骨折と診断した2症例を経験した.2症例とも神経学的所見を有しunstableであると考えられた.我々はこれら2症例の治療に椎体前方除圧術及びZielke instrumentationを用いての前方固定を行い,短期間ではあるが良好な術後経過を得た.

大腿部滑膜肉腫に合併した肺腫瘍塞栓症の1剖検例

著者: 野村栄貴 ,   花岡英弥 ,   宮内潤 ,   矢部啓夫 ,   倉持茂

ページ範囲:P.183 - P.187

 抄録:大腿部滑膜肉腫に合併した肺塞栓症により急死した症例を経験したので報告する.症例:46歳女性.主訴:左股関節痛.現病歴:昭和57年7月頃より左股関節痛が出現した.11月1日左大腿上部内側の腫瘤に気づき,精査目的にて入院した.経過:CT scan,血管造影などで悪性腫瘍が疑われたため,11月29日生検予定であったが,当日朝排便中,突然意識消失,呼吸停止をきたし,急死した.剖検所見:左主肺動脈基部にmassiveな新鮮な赤色血栓,右肺動脈が上下葉枝へ分岐直後に腫瘍血栓塞栓,更に両肺末梢動脈にも微小腫瘍血栓塞栓を認めた.左大腿部の腫瘍は肉腫状の部と一見上皮性の部から成る"biphasic pattern"を認めることから滑膜肉腫と診断した.考察と結語:患者の急死の原因は,肺腫瘍塞栓による肺動脈の血流障害を基盤に左主肺動脈にmassiveな血栓性閉塞が生じたためと推論した.

Clear cell chondrosarcoma—病理組織像と鑑別診断

著者: 松野丈夫 ,   佐々木鉄人 ,   三浪明男 ,   八木知徳 ,   三浪三千男 ,   野島孝之

ページ範囲:P.189 - P.194

 抄録:右上腕骨頭に発生したclear cell chondrosarcomaの1例を経験した.我々の検索し得た範囲では,本腫瘍は1976年Unni等12)が16例の報告をして以来,文献的報告は少なく,本邦での報告も,松本等9)が大腿骨頭に発生した1例を学会報告しているのみである.
 本症例は,35歳男性.当科初診前7年間に渡り,右肩関節痛および右上腕骨骨折などの既往があるが,腫瘍に気づかれていない.当科初診時のX線像で右上腕骨頭全体が広汎に腫瘍で置換され,透亮像と石灰化像・骨硬化像が混在していた.Biopsyにてclear cell chondrosarcomaの診断を得,wide resectionと,free vascularized fibula graftによる肩関節固定術を行った.摘出標本の組織像では,clear cellの増生,軟骨肉腫様の組織と並びaneurysmal bone cyst様の所見,反応性骨形成,腫瘍性骨形成などが認められ,腎癌の骨転移,aneurysmal bone cyst,良性軟骨芽細胞腫,良性骨芽細胞腫,骨肉腫との鑑別が必要と思われた.

下腿ガングリオンの1症例

著者: 三須一雄 ,   中川研二 ,   片田重彦 ,   安藤謙一 ,   杉浦達昌 ,   清水端松幸

ページ範囲:P.195 - P.197

 抄録:近位脛腓関節より発生し,下腿中央にまで茎をもって下垂して腫瘤を形成した下腿ガングリオンの1症例を経験した.症例は43歳の女性で右下腿の腫脹を主訴として来院した.下腿上中1/3前外側に小指頭大の腫瘤を認め圧痛があり,CT像にて右下腿伸筋群に一致して,境界明瞭な直径約2cmの円形の低吸収域が認められた.手術的に摘出すると,内容物はゼリー状で,病理組織学的診断はガングリオンであった.3ヵ月後に再発し,1年後に再手術を行った.前脛骨筋と長趾伸筋との間に小指頭大の弾性硬の腫瘤があり,下腿中央より径3mmの管状の組織が近位脛腓関節まで連続していた.以上より本症例は,近位脛腓関節より発生したガングリオンが,前脛骨筋と長趾伸筋との筋間の比較的抵抗減弱部に向かい,重力により下垂してきたものと考えた.従って下腿中央のガングリオンの症例に際しては,中枢への連続性に充分注意する必要があると考える.

クラシックバレエダンサーにおける脛骨の疲労骨折について

著者: 小川正三 ,   崎原宏 ,   宮下直之

ページ範囲:P.199 - P.203

 抄録:脛骨の疲労骨折は決して稀なものではなく,スポーツや軍隊における報告は少なくない.しかしクラシックバレエダンサーにおける本症の報告は本邦においては稀有である.われわれはダンサーにおける本症を5例経験した.症例は男1,女4例で年齢は19歳から30歳までで何れも跳躍時に下腿に疼痛を訴え安静により軽快す.X線像で脛骨中1/3の骨幹部の前面に跳躍型の疲労骨折を認めた.尚27歳の女性の反対側の脛骨に5条,第5例24歳女性の反対側の脛骨に3条の疲労骨折によると思われる横走する骨透過像が認められた.診断は本症の存在を知っておれば困難なことはないが屡々類骨骨腫と誤診され易い.治療は安静,骨穿孔術,骨移植術などを行ったが本症の治癒は遷延され易いので先ず骨穿孔術を行うことを奨める.バレエ人口が急増しつつある今日,今後本症も増加することと思われる.

先天性橈骨頭単独脱臼を伴った13q-症候群の1例

著者: 日高康博 ,   政田和洋 ,   川端秀彦 ,   露口雄一 ,   廣島和夫 ,   小野啓郎 ,   大谷和正

ページ範囲:P.205 - P.210

 抄録:先天性橈骨頭脱臼を伴った13q-症候群の1例を報告した.本症候群に先天性の橈骨頭脱臼を伴う症例の報告は,見あたらない.本症候群は,鼻背突出,巨大耳介,鎖肛,母指の低形成などを伴う染色体異常であるが,バンド染色にて確定診断が可能であった.本症例に見られた先天性の橈骨頭脱臼は片側性の前方脱臼であり,回内制限が強い点で従来報告されている先天性橈骨頭脱臼とは相違していた.回内制限が強いため,生後2歳10ヵ月で手術を行ったが,骨間膜の肥厚と緊張が最大の整復障害因子であり,骨間膜を切離することにより橈骨頭の整復が可能となったが整復位を保持するためには,さらに橈骨の回内骨切り術を追加する必要があった.その結果,回内回外は,術前-70°,90°から術後-10°,90°と改善した.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

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