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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科21巻3号

1986年03月発行

文献概要

論述

橈骨遠位端骨折後の長母指伸筋腱断裂について

著者: 黒沢秀樹1 荻野利彦1 三浪明男1 薄井正道2 三浪三千男3 岩崎公彦4

所属機関: 1北海道大学医学部整形外科学教室 2札幌医科大学整形外科学教室 3北海道整形外科記念病院 4王子総合病院整形外科

ページ範囲:P.241 - P.248

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 抄録:橈骨遠位端骨折に続発した長母指伸筋腱断裂19例の臨床像を分析し,腱断裂の発生機序について検討した.骨折から腱断裂までの期間は,転位のない骨折で平均4.5週,転位のある骨折で平均19週であり,転位のある骨折では腱断裂が遷延する傾向がみられた.橈骨遠位関節面から骨折線までの距離は,長母指伸筋腱断裂を合併しなかったColles骨折では平均12.1mmであった.腱断裂を合併した骨折では平均9.1mmであり,骨折線はLister結節により近い所を通っていた.以上の結果をもとに,橈骨遠位端骨折後の長母指伸筋腱断裂は,Lister結節の障害により発生するが,骨折後早期に断裂する場合は腱自体の主に圧挫などによる脆弱性が,骨折後長期間を経て断裂する場合は主に腱と骨折片や仮骨との機械的摩擦が関与している可能性を考察した.また,腱断裂に対して行った腱移行術の機能的予後も調査したが,全例に良好な結果が得られていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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