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症例検討会 骨・軟部腫瘍9例
〔症例4〕左大腿部軟部腫瘍
著者: 滝沢隆史1 廣田映五1 板橋正幸1 福間久俊2 別府英男2 西川耕平2
所属機関: 1国立がんセンター研究所病理部 2国立がんセンター研究所整形外科
ページ範囲:P.267 - P.269
文献購入ページに移動臨床経過:昭和59年5月中旬,左大腿前面の腫瘤に気がついた.自発痛はなかったが,圧痛を認め,放散痛はなかった.受診時,腫瘍の大きさは約15×10cmまでになっていた.8月9日入院.一般検血,生化学検査等では異常を認めなかった.単純X線写真,血管造影(図4-1)にて,腫瘤陰影を認めるが骨には異常所見はなく,骨膜反応も認められなかった.生検にて非上皮性悪性腫瘍と診断したがその際一部に軟骨への分化像がうかがわれた.術前Adriamycin 60mgの動脈内注入と6回の温熱療法を施行したが,腫瘍の縮小傾向は全く認められなかった.11月8日腫瘍切除術施行.腫瘍の大きさは,16×13×9cmで周囲はpseudocapsuleで囲まれていた.割面は黄白色,半透明であり,壊死や血腫は認められなかった.固定後の割面にて腫瘍は,分葉状の軟骨様部分とやや透明度が低い充実性黄白色部分などよりなっていた(図4-2).病理組織学的には広汎な軟骨形成を伴う非上皮性悪性腫瘍であった(図4-3).軟骨内のlacunaには異型を伴う細胞が存在し,多核細胞や巨核細胞も認められた.
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