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症例検討会 骨・軟部腫瘍9例
〔症例9〕骨盤部腫瘍
著者: 内藤眞1 高橋潔1 水田博志2 久保田健治2 佐保修二2 北川敏夫2
所属機関: 1熊本大学医学部病理学第二講座 2熊本大学医学部整形外科学教室
ページ範囲:P.280 - P.282
文献購入ページに移動昭和59年1月頃から右臀部から右下肢にかけての疼痛が出現し,その後馬尾症候群,歩行障害もみられたので9月13日熊本大学整形外科に入院した.入院時のX線,CTでは骨盤腔右仙骨前部から右臀部にかけて小児頭大腫瘤がみられ(図9-1),血管造影では腫瘍は内腸骨動脈に養われていた.生検で巨細胞腫の診断が下され,10月24日全摘術が行われた.手術時腫瘍は右大啓筋下にみられ,被膜を有し,大坐骨孔周囲の骨を破壊,骨盤腔内に侵入していた.腫瘍実質は暗赤色,出血性で脆く,多房性で,組織学的にaneurysmal bone cystの診断が下された.昭和60年1月超手拳大の腫瘍再発がみられ,そのため2月18日再手術が行われた.しかし,再度再発がみられ,6月には入院時を上回る巨大な腫瘍となり,腹部に容易に触知された.X線上肺転移は認められていない.
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