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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科21巻3号

1986年03月発行

文献概要

臨床経験

仙骨へ転移した卵巣未熟奇形腫の1例

著者: 小野浩史1 増原建二1 岩崎洋明1 三井宜夫1 浅野正文1

所属機関: 1奈良県立医科大学整形外科学教室

ページ範囲:P.309 - P.312

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 抄録:卵巣未熟奇形腫の仙骨転移例は稀である.我々はAFPとレニンが高値を示した卵巣未熟奇形腫の仙骨転移例を経験した.症例は24歳女性で卵巣dermoid cyst摘出後6ヵ月で腰痛にて発症,急速に進展し発症後6ヵ月でL5以下の完全麻痺を認めたため,手術にて仙骨を含めて腫瘍を全摘した.仙骨欠損部はHarrington法および骨セメントで固定した.病理組織学的検索にて卵巣dermoid cystと仙骨部摘出標本の両者に未熟三胚葉成分を認めたので,本症例を卵巣未熟奇形腫の仙骨転移と診断した.卵巣未熟奇形腫の転移巣では本症例の様に原発巣とほぼ同じ三胚葉成分と未熟組織の両者をもった組織像を示す場合もある.転移例の予後は転移巣の胎生組織の量により決まり,本症例の様に転移巣に未熟成分の多い例は予後不良である.AFPとレニンは本症例では明確な分泌組織は確認されなかったが,非典型的未熟組織より分泌されたと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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