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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科21巻5号

1986年05月発行

文献概要

臨床経験

頸椎部硬膜内髄外に発生した悪性リンパ腫の1例

著者: 村田英之1 下小野田曄夫1 渡辺勝典1 小林剛1 藤原敏弘1 井上哲郎1

所属機関: 1浜松医科大学整形外科学教室

ページ範囲:P.619 - P.623

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 抄録:悪性リンパ腫はその経過中にしばしば神経合併症の発現をみるが,脊髄への侵襲は硬膜外リンパ腫が大部分で,硬膜内の発生は稀である.今回,我々は上肢のradiculopathyを初発症状とし,頸椎部硬膜内髄外に発生した1例を経験したので報告する.
 症例は64歳の男性で,右上腕の疼痛・筋萎縮を主訴として当科を受診した,神経学的には右C5・C6神経根を中心とする障害が認められたが,long tract signはなかった.単純X線像では軽い頸椎症性変化をみるのみで,ミエログラムではC5・C6にかけ脊髄が右側より圧迫され,右くも膜下腔は消失していた.手術所見では,腫瘍はC5・C6・C7の右側硬膜内髄外に位置し,各神経孔にまで侵入しC6神経根は融解消失していた.組織学的には,びまん性混合型の悪性リンパ腫であった.術後,脳神経症状の発現をみたが,メソトレキセート,プレドニンの髄腔内投与,放射線照射により症状の改善をみた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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