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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科21巻6号

1986年06月発行

文献概要

論述

反復性肩関節前方脱臼の予後調査

著者: 松永英裕1 竹下満1 高岸直人1

所属機関: 1福岡大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.660 - P.665

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 抄録:外傷性肩関節脱臼患者の反復性脱臼への移行頻度,移行要因について調査した.141名の外傷脱臼の中で19名(13%)が反復性になっていた.30歳以下の54名では16名(30%),固定期間が3週以内のもの88名では18名(20%),30歳以下で3週以内の固定症例では41名中15名(37%)が移行しており,年齢が若く固定期間が短い者程反復性に移行していた.又大結節骨折合併は23例いたが,全例反復性に移行していなかった.次に反復性肩関節脱臼患者123名についても調査した.初回脱臼時年齢は30歳以下が111名で全体の90%を占め,固定期間が3週以内の症例が116名で全体の94%を占めていた.その中で整復後固定をしていなかった者が78名おり,全体の63%を占めていた.この結果は反復性に移行しないようにする為には30歳以下の外傷性肩関節脱臼の患者は少なくとも4週間の固定が必要である事を示唆している.次に反復性脱臼の自然経過をみるため非手術例の予後調査を行った.調査できた55名中,26名は良くなっていると言っており,悪くなっていると答えた者は6名にすぎなかった.また初め再脱臼の傾向の強いもの程,その後の経過として軽快傾向が強かった.高齢者の反復性脱臼は非常にめずらしいと言われているが,今回の調査で初回脱臼が50歳以上の反復性脱臼症例が5例いた.この5例と非再脱臼例との間に明白な差を認めなかったが,この5例は全例大きなHill-Sachs損傷を持っていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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