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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科21巻6号

1986年06月発行

文献概要

臨床経験

先天性棘下筋拘縮症による肩関節後方脱臼の1例

著者: 岡史朗1 多田浩一1 北野継弐1 中嶋洋1 堀部秀二1

所属機関: 1香川医科大学整形外科学教室

ページ範囲:P.737 - P.741

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 抄録:肩関節後方脱臼の病因論には多くの説があるが,棘下筋拘縮を原因とするような報告はない.今回,先天性棘下筋拘縮による肩関節後方脱臼の1例を経験したので報告する.〈症例〉14歳,男性,〈主訴〉左肩甲骨変形及び左肩不安定感.〈現症〉左肩甲骨内側縁が外後方に彎曲・突出し,左棘下筋内に索状物を認めた.また左肩外転90°にて,随意性後方脱臼を認めた.〈X線所見〉左glenoidの形成不全を認めた.〈手術〉1.棘下筋内の索状物の切除,2.glenoid osteotomy,3.左肩甲骨変形部の切除,4.後方関節包縫縮術を行った.〈経過〉術後5ヵ月で再発なく,経過良好である.〈考察〉本例においては,棘下筋拘縮によって上腕骨頭が後方へ牽引され後方脱臼がおこり,また肩甲骨内側縁が外側へ牽引されることにより変形が生じたと考えられる.棘下筋拘縮は,棘下筋内に発生した異常なband状のものによって生じたもので,筋膜の遺残,あるいは迷入でないかと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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