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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科21巻7号

1986年07月発行

文献概要

臨床経験

大腿骨軟骨肉腫に続発した肺腫瘍塞栓症の1剖検例—腫瘍塞栓,空洞形成,真菌症の合併について

著者: 三浦正明1 矢部啓夫1 花岡英弥1 宮内潤2

所属機関: 1慶應義塾大学医学部整形外科学教室 2慶應義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.847 - P.850

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 抄録:40歳男性の右大腿骨軟骨肉腫例で,肺に多発転移をきたし術後2年6ヵ月に死亡した1症例を経験し剖検を行った.剖検所見では両側肺門部を中心に肺動脈内に広範囲に亘る腫瘍塞栓の形成がみられた.また右肺上・中葉肺実質内には大きな壊死性空洞が形成され,空洞壁にアスペルギルスの真菌感染巣を認めた.腫瘍塞栓の形成には腫瘍の大きさ,成長速度,血管侵襲性等が影響するといわれている.軟骨肉腫は,血管内で成長し,肺や心臓の動脈内に拡がる例の報告がある.転移性肺腫瘍の空洞については,定説はないが本例は肺動脈腫瘍塞栓のため,肺実質内に乏血性壊死を来し,壊死巣が空洞化し更に真菌感染を併発したと考えられる.真菌症の中でアスペルギルス症は診断困難な場合が多く,そのまま細菌感染症として処理される可能性が考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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