icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科21巻8号

1986年08月発行

文献概要

臨床経験

転移性腫瘍を疑わせた胸椎血管腫の1例

著者: 池田俊彦1 粟屋梧老1 鈴木茂夫1 前川正毅2 四方實彦3 三河義弘4

所属機関: 1小倉記念病院整形外科 2大手前整肢学園整形外科 3京都大学整形外科学教室 4川崎医科大学整形外科学教室

ページ範囲:P.935 - P.938

文献購入ページに移動
 抄録:脊椎に発生した血管腫は,典型的にはX線上vertical striationと呼ばれる特徴的な像を呈するが,我々は最近,椎弓根破壊像を認め,転移性骨腫瘍との鑑別を要した胸椎血管腫を経験したので報告する.症例:36歳,女性,主訴:両下肢知覚障害,歩行障害.現病歴:入院4ヵ月前から誘因無く主訴が出現し,徐々に増悪した.単純X線でTh10の右椎弓根像の消失と椎体のcollapseを認めた.脊髄造影ではTh10でのextradural blockを認めた.血管造影では第10肋間動脈胸椎枝末梢の蛇行像,pooling像を認め,血管腫が疑われた.後方より骨生検を行った結果,海綿状血管腫の診断を得た.即ち単純X線像からは判明しなかった脊椎腫瘍像が,血管造影により血管腫を疑わせ,open biopsyにより確診された.そこで前方より進入し,椎体〜右椎弓にかけて切除し,自家腸骨片移植,Zielke deviceによる内固定を行った.出血量は3,140mlであった.術後10ヵ月の現在,良好に経過している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら