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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科22巻4号

1987年04月発行

文献概要

特集 腰仙部根症状の発症機序—基礎と臨床—(第15回日本脊椎外科研究会より)

腰神経根部クモ膜炎(Lumbar Radicular Arachnoiditis)の臨床的検討

著者: 田口敏彦1

所属機関: 1山口大学医学部整形外科 2 University of Toronto, Wellesley Hospital

ページ範囲:P.501 - P.505

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 抄録:腰神経根部に限局する特異なクモ膜炎をlumbar radicular arachnoiditisと称し,その臨床的特徴および病態について報告する,症例は,1975年から1985年の問にWellesley Hospital整形外科で経験した69例である.本症の典型的な症状は,非常に強いmuscle crampsと下肢痛である.症状が強いわりには,神経学的所見が乏しいために,しばしば心因性障害として治療を受けている.診断は,1)特徴的な臨床症状,2)サイオペントン疼痛試験,3)神経根ブロック,4)脊髄鏡検査によって行い,その病態を手術時所見で確認する.本病態は,神経根部でのクモ膜下腔の閉塞により,脳脊髄液からの神経根への栄養が障害されているためと考えている.このため,脳脊髄液の循環をよくする目的で,神経根部の硬膜切開を行い,同部に遊離脂肪移植を行った.本病態は決してまれなものではなく,multiply operative backと言われるものの中にも,本病態を考慮すべきものがあると思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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