特集 腰仙部根症状の発症機序—基礎と臨床—(第15回日本脊椎外科研究会より)
脊髄鏡による癒着性クモ膜炎の診断—腰部脊柱管狭窄症における手術成績不良例の検討
著者:
三田冨士雄1
佐藤悠吉1
須永明1
大井淑雄1
所属機関:
1自治医科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.507 - P.513
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抄録:腰部脊柱管狭窄症の治療は椎弓切除術に代表される除圧手術が広く行われ,良い成績を得ている.しかしながら,手術成績不良例の存在も見逃すことはできない.その原因としてlateral spinal canal stenosisやpostoperative instabilityが注目され,これに対応した手術が行われるようになってきた.癒着性クモ膜炎の占める割合も高く,Burtonは16%であったと報告している.従来より癒着性クモ膜炎の診断には脊髄腔造影術が有用であるといわれていたが,診断には困難なことは少なくない.われわれは癒着性クモ膜炎の診断に脊髄鏡を応用しているが,本法は直視下に病変を観察することにより微細な変化をもとらえる利点を有しており,本疾患の診断には優れた検査法であると考えている.
multiply operated backを避ける上からも癒着性クモ膜炎の存在を確認することは重要なことであり,脊髄鏡検査法の有用性は高いと考えている.