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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科22巻4号

1987年04月発行

文献概要

特集 腰仙部根症状の発症機序—基礎と臨床—(第15回日本脊椎外科研究会より)

腰仙部神経根の血管及び神経について—その解剖と変性辷り症の病理

著者: 渡辺良1

所属機関: 1平塚市民病院整形外科 2サウスダコタ大学解剖学教室

ページ範囲:P.529 - P.539

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 抄録:神経根に対しての機械的圧迫,圧迫による神経炎,神経の血行が腰仙部変性疾患の症状発現に関与している事実は長い間論じられてきた.しかしその解剖及び病理に関する記載は少ない.我々は,ヒト屍体を用いてその神経及び血管について解剖学的観察を行った.また,観察中遭遇した変性辷り症の例について病理学的観察をした.神経根の神経はニューロンの概念でいえば末梢神経であるが,解剖学的には神経索である.神経根内の血管は中枢神経における形態に近い.腰仙部では神経根の長さは10数cmに及ぶので,動静脈吻合などの合目的な保護機構がみられる.辷り症例では,神経の絞扼,神経線維の減少,脱髄,軟膜クモ膜の癒着などのほか,動脈コイルの狭窄部での消失,静脈うっ血,動静脈吻合の発達など血管病変がみられた.圧迫による神経の機械的,化学的被刺激性の高まりに加えて動静脈吻合による急激な血流の変化が間歇跛行の発現に関与する様に推察された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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