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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科22巻6号

1987年06月発行

文献概要

整形外科基礎

アドリアマイシン動脈内注入による血管壁の組織変化と微小血管吻合に及ぼす影響

著者: 多賀一郎1 河井秀夫1 露口雄一1 山本浩司1 川端秀彦1 政田和洋1 浜田秀樹1 小野啓郎1

所属機関: 1大阪大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.761 - P.766

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 抄録:悪性腫瘍広範切除後の微小血管吻合に際して,術前動脈内投与された抗癌剤アドリアマイシンの影響について実験モデルを作成し,検討を加えた.ラットの大腿動脈を用いて動脈内投与後一定期間をおいて血管吻合を行い,開存率と吻合部の組織学的検討を行った.術前投与後3週の吻合は血栓閉塞を高率に生じ,5週以上の期間をおくと吻合成績は改善する傾向がみられた.術前投与後に吻合を行った血管には組織学的に内弾性膜の断裂が認められ,その部に血栓形成を生じることが証明された.内皮細胞の再生能等に対する影響は軽度であった.しかし,アドリアマイシンにより血管壁は脆弱となり,血管吻合操作により容易に損傷されると考えられ,特に内弾性膜の損傷は血栓形成と密接に関連していた.この作用はアドリアマイシン投与後3週頃に最も強いと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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