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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科22巻9号

1987年09月発行

文献概要

臨床経験

人工透析患者に発生し,骨癒合に難渋した大腿骨骨幹部骨折の1例—アルミニウムとの関連について

著者: 溝畑隆男1 石井良章1 久津間健治1 佐藤圭子1 河路渡1

所属機関: 1杏林大学医学部整形外科学教室

ページ範囲:P.1097 - P.1101

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 抄録:人工透析患者に発生した大腿骨骨幹部骨折に対し骨接合術を施行したが,骨癒合を得られぬまま再骨折を生じた症例を経験し,骨癒合とA1(アルミニウム)との関連を追求した.症例は45歳女性.昭和56年より人工透析を開始し,2年後左大腿骨骨幹部骨折を起こし,angle plateによる観血的骨接合術を施行した.以後,骨癒合不良にて約11ヵ月後に再骨折とプレートの破損を起こした.本症例では骨癒合が遅延し何ら外傷の既往なく再骨折を生じたこと,血清A1値が7.5μg/dlと高値を示したことからA1中毒性骨障害を考えキレート剤desferrioxamineを投与すると共に観血的骨接合術を併用し,骨癒合の徴候を認め良好な経過をたどっている.また,AI検索のために行った硬組織の分析電子顕微鏡によるspot analysisではAIの有意のピークを認める部位があり,示唆に富んだ所見と思われた.以上により,AIが骨折部の石灰化抑制作用に大きな影響を与えていたものと推論した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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