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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科22巻9号

1987年09月発行

文献概要

臨床経験

高齢者大腿骨頸部骨折手術における低比重テトラカイン脊椎麻酔

著者: 山田邦雄1 太田邦昭1 脇田郷1

所属機関: 1国立豊橋病院整形外科

ページ範囲:P.1103 - P.1106

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 抄録:高齢者の大腿骨頸部骨折手術の麻酔30例に,0.2%低比重テトラカインによる脊椎麻酔を施行し,その有用性を検討した.対象は年齢が64歳から90歳まで平均74.4歳で,さまざまな術前合併症を認めた.テトラカイン溶液の注入量はおおむね8mlで低身長の患者は約7mlに減量した.注入10分後のpin prick法による無痛レベルは最高Th3最低L1で,3分の2の症例がTh10からL1の間であった.創部痛出現時間は平均6時間34分で,術中除痛目的で必要とされた補助麻酔はなかった.注入後30分間に血圧低下のため昇圧剤を使用した症例は9例30%であったが,その他重篤な合併症はなかった.
 この麻酔は患側を上にして腰椎穿刺が可能であり,骨折患者にとって苦痛が少なく,最小の体位変換で手術に移ることができる.十分な無痛と筋弛緩が比較的長時間得られ,術中術後の合併症が少なく,高齢者の下肢の手術にも比較的安全に行える麻酔である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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