文献詳細
臨床経験
文献概要
抄録:18歳男性,右大腿骨近位及び遠位端に発生した多発性骨巨細胞腫の1例を経験した.文献的には1937年Konjetznyの報告をはじめとして現在までに32例を数えるのみである.発症年齢は平均25歳,病巣数3〜4病巣が平均である.発生部位は単発例と同様に膝周辺に多いが,手に発生しやすいのが特徴といえる.また,局所再発率の高いこともこの疾患の一つの特徴であり,掻爬では60%,切除(準切除を含む)例でも16%に再発がみられている.しかしながら生命的予後は良好であり,全例ともに肺転移は認められず,腫瘍死したものはない.本疾患がmetastasisであるかmulticentricであるかの見解はいまだ明らかではない.しかし,本症例では初診時に2ヵ所の病巣が認められたこと,病理組織学的検索においても両病巣は明らかに独立していたこと,肺転移のないことにより多発性骨巨細胞腫と判断した.
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