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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科23巻12号

1988年12月発行

文献概要

視座

生体と人工材料のなじみ

著者: 桜井実1

所属機関: 1東北大学

ページ範囲:P.1399 - P.1399

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 人工臓器とまでは言えないが,人工関節,人工骨など,代用組織としての材料の開発が目白押しである.しかし,人間が造り出した物質以外の材料を用いて,我々は従来から何の不思議もなく手術を経験してきた.絹糸がその1つである.これは蚕が作り出したcollagenに類似するsericinという高分子蛋白である.生体にはこれを分解する酵素がないために,長年の間異物反応もなく生体組織に親和しているといわれるが,使用される量が微量なこともあってあまり炎症反応は起こさないのである.しかし,稀に手術標本に含まれている絹糸の周囲などに,細胞浸潤がみられることもある.少しずつ貪食細胞によって,絹糸が吸収されていくものと思われる.
 骨芽細胞はcollagenを形成したところにhydroxyapatiteを沈着させて,いわゆる骨組織を形成するが,血流が遮断されて腐骨になったものも長年の間には吸収されていく現象がみられる.これも生体が造り出した高分子化合物ということができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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