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視座
胸郭出口症候群の診断
著者: 阿部正隆1
所属機関: 1岩手医科大学整形外科
ページ範囲:P.235 - P.235
文献購入ページに移動TOSの診断は,各種の冠名圧迫試験で上記愁訴の発現およびその増強の有無をみる.Roosは,健常者の25%はWright testで橈骨動脈の拍動が消失することと,TOSの98%の患者は動脈の圧迫と無関係であったことから,橈骨動脈の拍動の消失そのものには必ずしも診断的価値はないとしている.しかし彼の意見には全面的に賛同するわけにはゆかない.Wright testなどで,すみやかに痛みやシビレが発現するケースは腕神経叢型とみてよいと思われるが,30秒〜1分後に愁訴が出現してくる例もあり,この場合,動脈型の可能性も否定できない.Roos testでも,陽性であればTOSと診断して支しつかえないが,神経型か動脈型かの区別はつかない.また当然,神経・動脈混合型もありうると思われる.
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