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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科23巻6号

1988年06月発行

文献概要

論述

ステロイド関節症の免疫学的側面—慢性関節リウマチ・変形性関節症との対比において

著者: 川部直巳1 岩田淳1 和田定1 江田有史1 藤新重治1 廣谷速人1

所属機関: 1島根医科大学整形外科教室

ページ範囲:P.691 - P.700

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 抄録:ステロイド関節症の発症機序は,いまなお不明な点がある,今回,手術を行った12例,18関節について主に免疫学的検討を行った.免疫血清検査では,12例のうち9例に免疫血清検査を行い,5例にIgGの増加を認めた,滑膜・関節軟骨の病理組織所見において特異的変化をみることは少ないが,免疫組織化学的検索では,主にIgG,C3が,滑膜で86%,関節軟骨で81%の高頻度に認められた.これは関節リウマチの滑膜100%,軟骨91%に近い頻度であった.関節軟骨に沈着した免疫グロブリンを抽出し,コラーゲンに対する抗体価を測定した結果,12例のうち5例にI型,II型コラーゲンに,4例にIII型コラーゲンが陽性であり,プロテオグリカンに対しては5例に抗体価が陽性であった.これは変形性関節症より頻度,抗体価ともに高かった.
 ステロイド関節症の病因として従来から代謝抑制,機械的刺激,除痛による酷使などが述べられているが,以上の結果からその進展には局所的な自己免疫も関与しているものと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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