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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科23巻6号

1988年06月発行

文献概要

症例検討会 骨・軟部腫瘍8例

〔症例1〕大腿骨腫瘍

著者: 三井宜夫1 宮内義純1 朴木寛称1 増原建二1 堤雅弘2 丸山博司2 小西陽一2

所属機関: 1奈良医科大学整形外科 2奈良医科大学付属がんセンター腫瘍病理

ページ範囲:P.715 - P.718

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 症例:23歳,女性
 昭和60年6月,左膝窩部に疼痛が出現し,8月には腫瘤形成に気付いた.腫瘤は次第に増大し,10月の当科初診時には大腿遠位部の後内側を中心に手拳大の硬い腫瘤が触知された.X線像では,大腿骨遠位骨幹部後面を中心とした骨皮質の肥厚と,部分的には骨皮質と連続した斑紋状の骨化と思われる陰影を伴った巨大な腫瘍陰影を認めた(図1-1),CT像では,骨皮質に接した骨外に腫瘤が見られ,内部に石灰沈着が認められた.血管造影では,軽度のhypervascularity,tumorstain,A-V shuntなどの悪性腫瘍を示唆する所見が得られた.99mTcシンチグラフィーでは,腫瘤に一致した部位に強い集積像が見られた.生検の組織学的検査では,悪性所見に乏しい線維性腫瘍の像を示した.10月24日単純摘出術を実施した,腫瘍は,骨膜から成ると思われる線維性の被膜を有し,周囲軟部組織との境界は明瞭で,骨との剥離もまた容易であった1摘出腫瘍の大きさは,16×11×4cm,335gで,割面は大部分が白色線維性で,島状のゼリー状の軟骨様部分や,骨様の部分も認められた.組織学的には,腫瘍の表層では線維芽細胞様の長紡錘形細胞の増殖が主体を成し,間質には豊富な膠原線維の増生を伴っていた(図1-2a).細胞成分に富んだ部分では,核分裂像が散見された)腫瘍の深部には,島状に骨と軟骨から成る部分が見られた(図1-2b).周囲の骨組織は,先に述べた線維芽細胞から成る線維性組織と連続性に移行しているように思われ,この部位における軟骨細胞に異型性が認められた(図1-2c).術後1年11カ月経過した昭和62年9月,左大腿遠位部外側のピンポン球大の腫瘤に気付いて来院した.X線では,前回手術部の中枢端外側の骨皮質から骨外に発育した比較的均一な濃厚陰影を認めた(図1-3).血管造影ではhypovascularで,99mTcシンチグラフィーでは強い集積を示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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