icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科23巻7号

1988年07月発行

文献概要

論述

腰部変性後彎の力学的考察,X線学的検討—骨盤傾斜と股関節への影響を中心に

著者: 岩原敏人1 竹光義治1 渡壁誠1 後藤英司1 柴田稔1 熱田裕司1 今井充1 原田吉雄1

所属機関: 1旭川医科大学整形外科学教室

ページ範囲:P.811 - P.819

文献購入ページに移動
 抄録:支持組織の老化,変性により腰椎部の前彎が消失または後彎化した腰部変性後彎を全脊柱立位X線の計測,および,股関節周囲筋の筋電図学的研究等より骨盤や股関節に及ぼす影響を検討した.腰椎の後彎化とともに,直立時骨盤前傾の減少,股関節の過伸展,股関節の仙骨に対する前方移動が認められ,胸椎後彎角は多くは減少ないし前彎化するが,増大するものもあり偏差は大であった.筋電図およびX線像より力学的に算出した股関節に及ぼす合力は高度の腰部変性後彎では正常の約5倍となるものがあった.さらに臼蓋前方のかぶりの減少より骨頭頭頂部の応力集中が推定された.腰部変性後彎は重心の前方移動が生じ,このため隣接する胸椎や骨盤に代償性の変化が出現する.躯幹重心を後方に少しでも移そうとするため骨盤の後傾化が起き結果的に股関節の過伸展が生じる.このように高度腰曲がりの変化は,股関節に及ぼす負担を増大する結果となると推察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら