icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床整形外科24巻5号

1989年05月発行

雑誌目次

視座

先天性内反足の治療から—corrective castとmanipulation

著者: 松野誠夫

ページ範囲:P.567 - P.568

 昭和30年以来,私どもは先天性内反足の変形矯正にギプス包帯を用い,これをcorrective castと命名1),現在まで屡々その治療成績について報告してきた.この方法については故森田氏から誌上反論2)があったが,本法をよく理解していないためと考えられたのでこの反論について反論3)したところである.
 乳児の軟骨が極めてsoftで,長も重要な変形要素の1つである軟部組織はhardであるため,外部からの過大な矯正力を避けなければならないのは当然で,この矯正力の限界を会得するためには吉川教授4)が述べているように,"矯正力が均等に内部に伝わり,また足の抵抗の感触がギプス包帯を通して手に伝わるように……"であることが必要で,この感触を会得することには可成りの経験を必要とする.私が北大整形外科にいた時も,昭和30年から昭和38年頃までは私がすべての先天性内反足のmanipulationおよびcorrective castを行ったが漸次教室の高須,金田(現北大教授),加藤(哲)(現国立東京第2病院),飯坂(現北大医短教授),須々田,門司らの諸君が次々とその手技を引継いでくれたわけで,先天性内反足の病態を熟知しcorrective castの本質を理解した医師のみにより施行されなければならぬ.

論述

骨肉腫治療効果判定におけるアルカリフォスファターゼ(Alp)の意義

著者: 松本誠一 ,   川口智義 ,   網野勝久 ,   真鍋淳 ,   古屋光太郎 ,   磯辺靖

ページ範囲:P.569 - P.574

 抄録:1982年より1987年に当科にて術前療法を施行した骨肉腫をもとに術前療法の効果とアルカリフォスファターゼ(以下Alp)値の変化を比較検討した.肝機能障害によるAlp上昇例を除いた対象症例は32例であり,これらを初診時Alpの値をもとに3群に分けた.すなわちI群(9例):Alpが成人における正常範囲内,II群(12例):Alpが正常範囲上限の2倍まで,III群(Ⅱ例):Alpが正常範囲の3倍以上,とした.
 (結果)①I群,II群においては実際の治療効果に関係なくAlpは減少し,Alpによる治療効果判定は困難であった.②III群においてはAlpによる効果判定の基準を治療前値の3分の1以下あるいは正常範囲内までの低下とすると実際の治療効果とよく一致した.

麻痺性凹足に対する第一中足骨矯正骨切り術

著者: 宮城登 ,   門司順一 ,   安田和則 ,   青木喜満 ,   大野和則 ,   木村敏信 ,   平岡正毅 ,   大越康充

ページ範囲:P.575 - P.580

 抄録:昭和60年以降,当科において麻痺性凹足10例12足に対して施行した第一中足骨骨切り術の成績を検討した.手術法は第一中足骨の長軸と直角に骨切りし,末梢骨片を底側に移動して過伸展位で固定する方法であり,原則としてStendlerの足底解離術を合併した.また凹足変形矯正の目的で,V字型足根骨骨切り術を5例5足に、三関節固定術を4例4足に施行した.術後,履物障害は全例で消失しており,足底の有痛性胼砥は12足中10足で消失していた.X線学的には足の術前後の立位側面像でMéary角が平均21゜,Hibbs角が平均20゜改善して両者ともほぼ正常値に達した.本手術法は単独では大きな矯正角は得られないが,足長を短縮しないという利点があり,また他の骨手術に合併することが可能である.以上の点から,第一中足骨矯正骨切り術は凹足変形の矯正に対して有効な一手段であると考える.

遠位脛腓関節離開の固定法について

著者: 宮城成圭 ,   川崎正章 ,   岩岡勝義 ,   溝上健一郎 ,   賀茂和典 ,   井上雅文

ページ範囲:P.581 - P.588

 抄録:足関節の捻挫,脱臼あるいは果部骨折など遠位脛腓関節の離開を伴った症例にしばしば遭遇することがあるが,同関節の解剖的,機能的修復は予後に重要な影響を与える.一般に同関節の固定には螺子あるいはボルト類が用いられているが,著者らは足関節運動に際しての腓骨の運動を考慮して軟鋼線による経脛骨・腓骨囲続固定を行い,早期運動,荷重を行わせ良い成績を得ている,本手術法を紹介するとともに症例を挙げ,文献的考察に私見を加えて報告した.

上位頸椎に対するmandible and tongue-splitting approach

著者: 本間玄規 ,   室田景久 ,   司馬立 ,   近藤秀丸 ,   林克章 ,   太田康人 ,   伊藤博志 ,   漆原信夫

ページ範囲:P.589 - P.597

 抄録:軸椎に発生した巨細胞腫の2症例に対して,経咽頭腔前方進入法の1つであるmandible and tongue-splitting approachにより,腫瘍摘出術ならびに環椎から第3頸椎にいたる前方固定術を行った.本進入法によれば手術時に体位をとる際に頸椎の伸展や回旋などを加える必要がなく,外固定器具を装着したままで中間位あるいは整復位での手術が可能である.さらに,斜台から第4頸椎までの広い術野が得られ,安全かつ十分な前方除圧術が可能である.一方,気管切開が必要で,感染の危険性が高いこと,術前後の管理が煩雑なこと,咬合・舌機能に問題があるなどの欠点がある.しかし,強力な抗生剤が出現し,経静脈的高カロリー輸液が確立され術後呼吸管理の発達した現在においては,これらの欠点は大きな障害とはならず,頭蓋頸椎移行部や上位頸椎部の広範な前方除圧術が必要な症例においては,常に考慮されるべき進入法である.

シンポジウム Rb法の限界

Rb法の限界—緒言

著者: 篠原寛休

ページ範囲:P.598 - P.598

 第27回小児股関節研究会の主題の一つ「Rb法の限界」について,本誌において誌上シンポジウムとして,取り上げて頂けたので,当日議論された主なる論点を紹介し,16題の優れた内容の発表があったが,それぞれのセッションを代表して,5名の諸氏に論陣を張って頂くこととした.
 先ず,今回の当研究会の主題として「Rb法の限界」を取り上げた理由は,1957年鈴木良平前長崎大教授がRbを日本に導入して以来,その発祥の地以上に普及及び工夫が凝らされ,優れた成果を挙げつつ今日に至って来たが,1972年頃より京大グループによる先天股脱予防運動の気運が高まり,その成果も又著しいものがあり,Rb法によって治療される側,いわゆる先天股脱の方も変貌し,以前のようにRbで容易に整復される症例が減り,いわゆる難治性の比率が増えて来たこと,Rbも安易に装着しては,いろいろ障害を来すおそれがある等,Rb法も曲り角にさしかかっていると思われたからである.

Riemenbügel法による乳児先天股脱の解剖学的治癒率

著者: 岩崎勝郎

ページ範囲:P.599 - P.603

 抄録:乳児先天股脱に対するRiemenbügel(RB)法の限界を知る目的で解剖学的治癒率を調査した.
 外来RB法で円滑に整復され,5年以上経過した104例110関節のX線学的所見をSevernの基準に従って判定し,group Iに属するものを解剖学的治癒として,治癒率を算出した.またこの治癒に至らなかった症例ではその原因となる因子を検索した.

Rb法による先天股脱・股亜脱の治療成績

著者: 中塚洋一 ,   小田浤 ,   難波賢 ,   高橋右彦 ,   田辺剛造

ページ範囲:P.605 - P.609

 抄録:Rb法単独で治療し骨成長のほぼ終了する16歳以上まで追跡した先天股脱63例72股,先天股亜脱64例72股についてX線学的に検討した.最終調査時SeverinのI群は先天股脱で67%,先天股亜脱で86%であり,先天股脱で劣る.6歳時Severin I a群のほとんどは骨成長終了時I群となるが,6歳時のIII群は約半数がIII群にとどまった.計測値の経時的推移ではα角は乳児期に,Sharp角は9-10歳以降に改善が著しい.最終調査時に判定したSeverinのI,III群について各々の計測値をRetrospectiveに検討したところ,3歳時のα角,TDDには有意の差はなく,この時期に将来の股形態を予測することは困難であり,補正手術の適応には慎重を要する.ペルテス病様変化の発生率は先天股亜脱ではなく,先天股脱で2.8%であった.また,Severin I群と言えどもそのCE角は正常股に及ばず,より長期の経過観察が必要である.

Riemenbügel法にて整復されなかった先天股脱症例の検討

著者: 神原俊和 ,   廣橋賢次 ,   町井義和 ,   浦勇武志 ,   島津晃

ページ範囲:P.611 - P.619

 抄録:Riemenbügel法(RB法)にて整復されなかった症例の初診時の臨床的・X線学的状態とその後,牽引法に移行し非観血的あるいは観血的に整復され5歳以上に達した調査時のX線学的成績を検討した.その結果,RB法開始前の状態からはこれによる整復の可否を予見する一定の指標は得られなかった.また,これら症例のうち,牽引法へ移行し,とくに早期に非観血的に整復されたものは中等度以上のペルテス様変化をきたすことなく良好な成績を収めているものが多かったが,脱臼位のまま長期間RBを装着させたため股関節の内外に高度な二次的変化を招き観血的整復術を余儀なくされたと考えられる症例もあり,RB法による整復に固執し,徒らにRBを長期間装着することは慎むべきであると考えられた,一方,RBにて整復された症例のX線学的成績からみると本法のみにて全例に満足すべき結果を得ることは不可能であり,不満足な結果を示した症例に対しては本法による治療終了後も年齢を加味した一定の指標に基づき他の保存的もしくは観血的治療を追加すべきであることを再確認した.

臼蓋形成不全股の推移—Rb装着群と自然経過観察群の比較検討

著者: 藤井玄二 ,   船山完一 ,   近藤博嗣 ,   伊礼修 ,   小竹英義

ページ範囲:P.621 - P.628

 抄録:乳児期に発見されるいわゆる臼蓋形成不全の実体が一次性か二次性か,どのような発育過程をとる性質かを,Rb治療と自然経過の等価二群を対象に長期観察の結果から比較検討した.宮城県栗原保健所管内の皆X線直接撮影方式把握(検診率98%)の脱臼・亜脱臼(山室B値12mm以上)0.4%以外のα角30度以上か25度以上で非正常形の臼蓋形成不全股につき,自然経過54例94股,Rb治療(平均3カ月)35例63股の女児を平均14歳まで経過観察した.4カ月時のα角31.5度対31.4度(n. s.),OE角-1.6度対-3.7度(p<0.01),B値9.7mm対9.4mm(n. s.)で当初Rb群がやや臼蓋形成不良なるも10〜12歳の臼蓋骨化により,14歳時Sharp角43.6度対43.5度,CE角25.6度対26.2度,AHI78.9%対79.0%となり両群に差はなかった.しかし,正常群と異なる臼蓋形成不全骨格を呈し,Rb治療で変化しない一次性因子を含むと結論された.

RB治療に伴う骨頭壊死についての考察

著者: 鈴木茂夫 ,   山室隆夫

ページ範囲:P.629 - P.633

 抄録:220例,270関節の先天性股関節脱臼,臼蓋形成不全に対するリーメンビューゲル(RB)による治療成績の検討を行った.さらに整復前の脱臼度をa値,b値で表わし,整復率,ならびにRB治療の合併症である大腿骨頭壊死との関係を考察した.RBによる脱臼の整復率は全体としては94.4%であったが,脱臼が高度になり,a値が4以下,b値が14以上になると整復率は65%以下と低くなった.また大腿骨頭壊死の発生率はa値とよく相関し,a値が低下するのにしたがい高くなり,8未満では17%以上であり,4未満では27%以上であった.骨頭壊死の重症度はかならずしも脱臼の程度と相関せず,軽度の脱臼においても,高度の壊死が見られることがあった.現時点でのRBの適応は少なくともa値が8以上あることが必要であり,それより程度の強い脱臼ではまず牽引その他の方法を講じ,いきなりRBを装着すべきではないと考える.RBは必ずしも無害ではないので,その装着は慎重にすべきであることを強調した.

整形外科を育てた人達 第70回

Georg Hohmann(1880−1970)

著者: 天児民和

ページ範囲:P.634 - P.636

 Georg Hohmannはドイツの有力な整形外科学者でHitlerの政権下にあっても民主主義の立場は変えることなく,Frankfurt,München大学の学長までした偉大なる学者である.

手術手技シリーズ 関節の手術<下肢>

膝蓋・大腿関節の手術—膝蓋骨亜脱臼と膝蓋軟骨軟化症(膝蓋・大腿関節症を除く)

著者: 腰野富久 ,   酒井直隆

ページ範囲:P.637 - P.644

はじめに
 近年膝関節外科の進歩は著しく,以前膝内障などとして,判然としないまま一括して扱われていた種々な膝疾患の診断が正確に鑑別されるようになった.それにともなって最近種々の的確な手術治療が確立されてきた.今回はこの中で特に膝蓋軟骨軟化症および膝蓋骨亜脱臼の手術について言及する.なお,ここでは手術法・症例とも膝蓋骨脱臼および膝蓋・大腿関節症についてのものは全く除外した.

認定医講座

整形外科的バイオメカニクス・運動学

著者: 井上雅裕

ページ範囲:P.645 - P.651

はじめに
 整形外科の分野において,最近ますます工学的な考え方や分析方法が導入されるようになってきた,これは整形外科が運動器の外科であるために,その対象とする疾患の診断や治療について考えるとき,単に観察や経験に頼るよりも,力や運動という概念を用いた記述的な方法や計測法を用いたほうがより客観的で普遍的な判断を下すことができるということが認識されるようになってきたからであろう."整形外科バイオメカニクス"という言葉も最近では一般的に用いられている.しかし,現在の医学教育カリキュラムにおいては生体工学はほとんど考慮されていないというのが現状である.したがって一般の整形外科医は"応力"とか"歪"というような工学用語には依然として慣れてはいない.一方,整形外科分野における最近のトピックスをみると,人工関節,人工靱帯,脊椎インスツルメンテイションなどのように生物学的な理解のみならず,臨床応用に際して工学的な理解を必要とされるものが少なからず存在する.また整形外科的な診断学や治療学の発展をめざして今後ますます整形外科医と工学者の共同研究が行われ,その結果が臨床に応用される場面が増加すると思われる.このような点から,工学の基礎的知識は,もはや整形外科医にとって研究面のみならず,治療面においても必須であるといっても良いであろう.

関節鏡検査

著者: 陳永振

ページ範囲:P.653 - P.658

はじめに
 関節鏡の歴史は古い.その応用は診断の確率が高く,鏡視下手術も可能である.最近スコープ,テレビ,手術器具の開発改良および手術手技の進歩により本世紀整形外科領域の新たな展開を意味することといえる.

臨床経験

中間型と思われた大理石骨病の1症例

著者: 杉浦英志 ,   杉浦昌 ,   片岡祐司 ,   則竹耕治 ,   梅沢健司

ページ範囲:P.659 - P.662

 抄録:大理石骨病は1904年,Albers-Schonbergにより初めて報告された比較的稀な広汎性骨硬化像を呈する疾患であり,その病態から常染色体劣性の悪性型と常染色体優性の良性型に大別されてきたが,1979年,Beightonらは中間型の存在を確認している,今回,我々は中間型と思われる症例を経験した.症例は54歳女性で,両親がいとこ結婚であり,幼少時より低身長,視力障害,易骨折性を呈し,右大腿骨転子下骨折にて入院となった,入院中の病理学的検査では大理石骨病に特徴的なモザイク状構造がみられ,骨髄腔は狭小化し破骨細胞の減少をともなっていた.Hortonらは常染色体優性の良性型と常染色体劣性の悪性型では破骨細胞の数は増加しているのに対し,中間型ではむしろ減少していたとしており,本症例は劣性中間型の範疇に入るものと思われた.

短指症に発生した中手骨骨頭離断性骨軟骨炎の1例

著者: 近藤信和 ,   石下峻一郎 ,   藤田享介 ,   山田治基 ,   小野陽二郎

ページ範囲:P.663 - P.666

 抄録:離断性骨軟骨炎は関節軟骨の軟骨および軟骨下骨が関節面より遊離する疾患であり,膝関節大腿骨内顆,肘関節上腕骨小頭などに多く発生する.しかし,中手骨骨頭のように小管状骨に発生することは稀である.中手骨骨頭の離断性骨軟骨炎は短指症に発生した症例として1978年Andrénらによって報告されているが,以後の報告例は少ない.離断性骨軟骨炎の成因については,諸家によって外傷説,血行障害説,遺伝などの素因説などとさまざまな説が報告されているが,定説をみない.われわれは,右示指MP関節屈曲障害を主訴とする短指症の16歳女子のMP関節に遊離骨片を認め,遊離骨片摘出術を行った.摘出した関節内遊離骨片は病理組織学上では,表層では線維組織を多く含み,中心部ではわずかに石灰沈着をした硝子軟骨が主成分であった.この所見は離断性骨軟骨炎のものであり,これより短指症に発生した中手骨骨頭離断性骨軟骨炎と診断した.

恒久性膝蓋骨亜脱臼によって生じた膝蓋大腿関節症の1例

著者: 広瀬哲司 ,   栗原章 ,   田中賢治 ,   福原啓文 ,   水口龍次 ,   豊田嘉清

ページ範囲:P.667 - P.670

 抄録:膝蓋大腿関節障害はその成因も多く,また,治療法の報告もさまざまである.今回我々は,高度の膝蓋大腿関節症で恒久性に膝蓋骨が亜脱臼位を示した症例を経験した.
 症例は57歳の男性で,幼少時から左膝のgivng way様の症状とそれに伴う膝関節痛とがあった.55歳頃から症状が増強し,歩行不能となった.レントゲン検査などで左膝蓋大腿関節には著明な関節症変化を認め,膝蓋骨は外側亜脱臼の位置にあったがその位置は膝関節の屈曲角度によって不変であった.この症例に対してCave-Rowe法に準じたarthroplastyを行い,良好な結果を得ることができた.

Plexiform neurofibromaを基盤として発生したと考えられる乳児悪性神経鞘腫の1例

著者: 中島久弥 ,   渡辺久照 ,   高桑俊文 ,   牛込新一郎 ,   山崎誠 ,   三好邦達

ページ範囲:P.671 - P.675

 抄録:悪性神経鞘腫は30〜50歳に多く,小児発生例は稀で,10歳以下の報告例は少ない.生後1年以内に発症する例は極めて稀である.今回,われわれは足背に発生したplexiform neurofibromaを基盤としたと考えられる乳児悪性神経鞘腫を経験したので報告する.
 生後3日目に右足背の母斑を指摘され,その後,その外側に腫瘤が出現した.生後3カ月時に,本院外来を受診し,その後増大傾向を認めたため腫瘍摘出術が施行された.腫瘍は肉眼的に薄い結合織性被膜に包まれ,弾性軟である.その割面は淡黄白色髄様で分葉状を呈している.組織学的には肥大した神経束及びplexiform neurofibromaを示す部分の他に,細胞密度の高い,核分裂像の多い,核異型をもつ悪性神経鞘腫を示す部分も認めた.免疫組織化学的にはS-100蛋白が強陽性を示した.電顕的にはlong cytopIasmic process,そのinterdigitation,basal lamina,desmosome like junctionを認めた.

基本情報

臨床整形外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1286

印刷版ISSN 0557-0433

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら