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人工股関節置換術におけるセメントの弊害が認識され,cementless THRが普及するにつれて多くの関節が報告されている.初回手術,再手術のいずれにおいてもcementless THRが使用される機会が増加するものと思われるが,人工関節の進歩には,力学的要素(頸部断端の長さ,頸部切除面の傾斜,カラーの有無など),生物学的要素(骨組織と人工関節との接触面の形状と種類,生体との親和性,stress shieldingなど)を多面的に検討することが必要であり,階段的な改善が期待される.このように多くの要素に支えられているcementless THRであるが,まず人工関節の素材では,生体親和性の高いチタン合金の開発(Ti-Al-Nbなど)が行われ,stemの初期固定の主流となっているのは,骨幹部の内,外側骨皮質と接触し,大腿骨中枢端で海綿骨と接触するpress-fit typeで,2次的な固定は,stemの表面構造に依存するものが多い.たとえば3〜5μmの表面上げ(Zweymüller 1988),porous-coating(Engh 1988)などがあり,開発途上のものとしては,代表的な生体内活性物質であるハイドロオキシアパタイトを表層に重ねることにより,結合織を介さない骨組織と人工関節との結合を目指したものがある.
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