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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科24巻9号

1989年09月発行

文献概要

臨床経験

痛風に起因する手根管症候群の1例

著者: 五十嵐康美1 舟田公治2

所属機関: 1いわき市立常磐病院整形外科 2いわき市立常磐病院病理

ページ範囲:P.1107 - P.1110

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 抄録:68歳の女性が右手指の運動障害と正中神経支配域の知覚障害を訴え来院した.臨床所見より,手関節部の痛風結節と痛風性の腱鞘炎による手根管症候群と診断した.手術所見では,舟状骨部に生じた痛風結節と,手指屈筋腱の間に存在する嚢腫により,正中神経が絞扼されていた.痛風結節と嚢腫をできるだけ切除し,横手根靱帯を切離した.2カ月後に母指対立再建術を追加した.術後,指の運動は改善したが,示指の知覚の回復は不良であった.痛風に起因する手根管症候群は,痛風患者ではもともと手の症状が少ないうえ,薬物療法が普及したことによりまれなものである.しかし,痛風患者の増加に伴い,治療抵抗例または治療中断例の中から,手に症状を持つような重症例も増えると予想される.今後,痛風患者の診療に際しては,手根管症候群をはじめとする上肢の合併症も念頭におく必要があると思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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