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文献詳細

雑誌文献

臨床整形外科25巻1号

1990年01月発行

文献概要

シンポジウム 全人工股関節置換術―セメント使用と非使用:その得失―

緒言:全人工股関節置換術の長期成績を左右する因子についての考察

著者: 山室隆夫1

所属機関: 1京都大学整形外科

ページ範囲:P.23 - P.23

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 英国のMcKeeが人工股関節を骨に固着させるために初めて骨セメントを使用したのは1951年であった.この人工股関節は約5年で可動性が悪くなりlooseningをきたすものが多かったが,成績不良の原因は金属対金属の組み合せのこの人工関節のデザインにあると信じられ,材料とデザインの改良が行われた.その結果として,1961年にCharnleyの22mmという小骨頭径の金属性骨頭とHDPの組合せによるlow friction arthroplastyが登場することになったのであるが,このセメント使用型人工股関節の5年の成績が余りにも良いので,低摩擦ということの重要さを深く理解することなく,脱臼の防止とHDPの摩耗を少なくするという目的で32mm骨頭径のMuller型が間もなく登場した.10年後の成績は同じ骨セメントを使った人工股関節であるにも拘らず,Müller型の方がCharnley型に比して圧倒的に悪かった.わが国では,その原因が摩擦トルクの差に基因するものと考え,トルクの大きいMüller型を放棄した.欧米ではデザインが悪かったと考えてMüller型のステムを改良した.しかし,尚もlooseningが起るので,その原因が骨セメントにあると考え,セメントを使用しない人工股関節の開発へと人々の関心が移って行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1286

印刷版ISSN:0557-0433

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