文献詳細
文献概要
臨床経験
肩甲下部に発生した巨大嚢胞の1例
著者: 芝昌彦1 臼井康雄1 一山茂樹1 水野耕作1 廣畑和志1 鵜飼和浩2 池田正則3
所属機関: 1神戸大学医学部整形外科学教室 2兵庫県立成人病センター 3灘金沢病院
ページ範囲:P.1323 - P.1326
文献購入ページに移動症例は41歳,女性で,昭和62年7月頃より右肩甲部に鈍痛を感じることがあった.昭和63年8月,右肩甲下部の腫瘤に気付き当科を受診した.腫瘤は手拳大,弾性硬で波動はなかった.CT,MRIで右肩甲骨と胸郭の間に腫瘤陰影を認め,昭和63年9月摘出術を施行した.腫瘤は広背筋,前鋸筋と胸郭の間に存在する嚢胞で,内容は赤褐色の混濁液であった.病理組織学的には,器質化した血腫あるいは巨大な滑液包炎が考えられたが,外傷の既往がないことより,肩甲下部に発生した滑液包炎の可能性が高いと考えた.1年後の現在,再発はなく,経過は良好である.
同部に発生する軟部腫瘍を疑わせるほどの巨大な嚢胞性腫瘤は稀と思われるので,考察を加えて報告する.
掲載誌情報